お天道さまに翻弄されに行く旅。伯備線貨物とようやく向き合ってみた。

 私事ではあるが、9月の初めに異動となった。しかしその新天地の事業所は極度な人材不足に加え他にも課題山積。休みもまともに取れない絶望的な環境の中、突如近隣の事業所が改装のため一時閉鎖するとかで、そこの社員2名が休業期間中、応援に来てくれることになった。今年も取れなかった夏季休暇。過去例のないほどの頭脳のフル回転でシフトを調整し、なんと何年かぶりの5連休を作ることができてしまった。・・・ただ、こういう時に限って、せっかくの遠征に相応しい目欲しいネタは無いもんだ。考えあぐねた末、出た行き先はオリジナル色の富山地鉄14760形撮影旅。しかし5日間の休みで富山だけは勿体ない。そうだ! 381特急「やくも」の際、次回に、とキープしておいた伯備線貨物にトライしてみよう。吹田のEF66と並び国鉄型機関車最後の定期運用になってしまった愛知機関区のEF64。現在は中央西線に1往復。伯備線に3往復が最後の牙城となっている。遠くの伯備線ならなら長期休暇に持ってこいだ。休みの前半は伯備線、後半は富山地鉄に転戦する大まかなプランを立て、出発の準備をした。


2025年11月17日

 1日目。今日は贅沢に移動日に充てる。朝8時、関東地方の自宅を出発。前回の特急「剣山」の徳島入りの時と同様に、一般道で西に行ける所まで行って高速に乗るとしよう。西湘BP、箱根新道、あとはひたすら長い長い国道1号のバイパスを使い、豊橋付近で名豊バイパスへ。すると突如として酷い渋滞に巻き込まれた。VICSや交通表示板などでもその案内は全く無く、完全に停止していることをいいことにスマホで調べ始めると、直前にこの先で大規模な交通事故が発生しているらしい。結局その渋滞脱出に1時間半ほど費やし、暗くなった名古屋市街、四日市市街を抜け、これまた前回と同じく滋賀県の新名神、甲賀土山ICでようやく高速に乗った。あとはもう目的地を目指すのみ。ガラガラの中国道から米子道へ進み、ようやく「聖地」に近い鳥取県、江府ICを降りたのは22時近くだった。途中コンビニで夜食と食事、酒を調達し、今日のお宿は生山駅に近い道の駅「日南」となった。一息ついたところで改めて明日の天気予報を確認。やはり移動中に確認した当地の天気予報は変わらず曇り時々雨のままだった。まだ今日は初日。明日がダメでももう2日ある、と半ば楽観的に考え初日の移動日を終えた。


2025年11月18日

 翌朝6時起床。空模様は大変重たい曇り空。身支度を整え出発。昨日、朝イチの撮影をどこでするのかを全く決めていなかったため、鳥取県側で初日を終えたのだが、改めてこの地域の日の出の時刻を確認すると、こちら側では通過時間が早すぎて露出を得るには厳しいということが分かった。関東より西なのでなおのこと。これと同様、最近考えれば事前に気が付くことに勢いで失敗することが増えたような気がする。と言う訳で岡山県側へ移動。県境の谷田峠(たんだだわ)を越え、伯備線の峠の南側区間に突入した。381の際には見向きもしなかった初訪問の新郷〜足立カーブ。好ましいカーブを描きながら鉄橋を渡る下り勾配の岡山方面行きの撮影地だ。先客が1人おられ、挨拶を交わしたのだが、スゲー暗い。いや、その先客の方ではなく、露出がスゲー暗いのだ。深い谷になっている上、ただの曇りではなくとんでもなく重い曇り空。セッティングをかまし調整すると、露出はあまり使いたくないがもちろん開放。坂道を転がり下りて来る貨物列車を想像しながらシャッター速度を調整するとISO3600という過去に経験したことの無い感度になってしまった。「イヤだなぁ〜」と感じながらも尊き碧い車体を待つ。やがて静かな渓谷の遥か彼方から、重厚な機械と金属の音が聞こえてきた。しかしなかなか姿を現さないところが、やぱっりEF64の威厳というか登場シーンに相応しい。常紋峠でDD51を迎え撃ったあの時の感覚を思い出し体勢を整えた。さぁ!来い!




最初の一発目、3082レはコンテナ満載で峠から降りてきた。
2025年11月18日   伯備線  新郷〜足立   EOS6D 24-105mm

 ところで、国鉄型機関車最後の定期運用に就く愛知機関区のEF64は、中央西線とここ伯備線に現存していると述べたが、この季節、撮影可能時間に走行するのは中央西線の下り81レと、伯備線はこの3082レと同じく上りで午後出発する3084レの片道2本のみだ。1日たった2回の撮影のみであれば遠征を躊躇するところだが、伯備線はご存知の通り重要な陰陽連絡幹線であり、特急「やくも」が1時間おきにバコバコ走り、その他普通列車もそれなりに設定されていることから旅客輸送を優先すべく、貨物列車には運転停車が多数設定されている。この3082レは上菅、生山、備中神代、新見などで10分以上の停車がある。そうとくれば・・・もちろん、ね?

 3082レを見送り先を急ごう。ていうか次の備中神代と新見では合計1時間以上停車するため急ぐ必要は全く無い。ちょうど通勤時間帯で混み合う新見市街の軽い渋滞を抜け、コンビニで朝飯と給油。空模様も相変わらずだし風景を入れて撮るというのではなく、一発ドカンをかましてやりたい。新たな撮影地を開拓するのもメンドイので、381初回に訪問した備中川面のアウトカーブを目指すとしよう。しばらく走り現着。すでに5名様ほどが陣取っておられ場所選びに苦労したが、なんとか集団から少し離れた1地点を確保することに成功した。




ちょっと天地バランス取り失敗。この先、新見以南の伯備線は広くゆったりとした高梁川沿いを走行する。
2025年11月18日   伯備線  方谷〜備中川面   EOS6D 100-400mm

 さて初日午前の部は終了。昨夜、車中泊での寝付きが非常に悪かったため、午後の部開演まで3時間以上あるので昼寝することにした。新見市街に戻り、都市規模の割には巨大なショッピングセンターの広い駐車場で1時間ほど惰眠をむさぼり、移動開始。午後の3084レのロケハンをしながら鳥取県側へ向かう。すると朝からの重い曇り空はとうとう雨が降り出してきた。天気予報もいつしか変わっており終日曇り時々雨予報。明日もあるのでリベンジ必須ということで今日は可能な限り3084レを撮影していこうと思う。

 岡山と鳥取の県境の峠、谷田峠は標高500mに満たないほどであり、分水嶺の峠でありながら県道はトンネルを掘ることもせず、一方の伯備線は1kmほどの谷田峠トンネルで越えるなだらかな峠だ。しかし峠南北の性格は大きく異なっており、峠からの南側区間では西川という河川が浸食して出来た深い谷あいを走るのに対して、鳥取県側へ抜けると突然高原が広がり、すぐに比較的まとまった集落の中心に上石見駅が出現する。個人的にはかつての碓氷峠の暗い峠道を越えると軽井沢の市街が広がるあの感覚に似ていて、既視感を覚えてしまう。そのサミットに近い駅、上石見を過ぎると雨は本降りとなってきて間欠ワイパーも効かないほどになってきた。もうこれ以上の撮影は無理と判断し、米子へ降りて温泉でも入って休憩室でゴロゴロしようかと思い出発すると、標高も高いこともあってか雲の流れは速く、進むごとに降ったり止んだり、ついには晴れ間も見えてきた。太陽光が降り注ぐと、この地に来てあることに初めて気が付いた。

 紅葉が真っ盛りなのである。まさに錦秋。ついでに雨上がりの大気に光が斜めに差し込むことで紅葉をバックにくっきりとした虹まで出現してきた。「ふ・・・なんて美しい・・・」 温泉入ってゴロゴロ、なんて怠惰な欲望が一気に吹き飛んだ。まだ次の3084レまで少し時間があるが、この美しい情景の中を往くロクヨンを一枚の画にできればこの上ない至福。すぐに撮影地の選定に取り掛かった。でも、というかやはり天はそう甘やかしてくれはしない。ビュンビュンと雲は流れていき、真っ暗〜虹と紅葉を繰り返して、こんな小汚い自分を蹂躙してきやがる。「もぅーわーったよ、わーった」 クリエイティブな発想はもうやめて、過去撮影経験のあるポイントで無難に、かつ手堅く行ってみよう。そんな訳で381の時にも訪問した黒坂の跨線橋カーブに到着した。しかし到着してみるとなんと橋の上には数年前には無かった背の高い柵が設置されているではないか。柵の網目も細かく、どうやら鉄道ファンの転落防止用にと安全のため取り付けられたようだ。その心配りに嬉しすぎて涙が出てくる。しかしこんな子供だましに怯むようではテツが廃るとういもの。エイッ、ヒョヒョイとやってアングルを決めた。



コレがね・・・

コウなるんですよ 
自分でもビックリ!?



ハイ、ちゃんと曇りました。空コキも虚しい午後の3084レ
2025年11月18日   伯備線  黒坂〜上菅   EOS6D 24-105mm

 ワンチャン晴れるかな?と少し期待もしてみたが、もちろんそんなことは無く、「あるわけねーじゃん」と天に軽くいなされたようだ。でもやはり動いているロクヨンを見てしまうと、条件反射のように追っ掛けてしまう。この列車は上菅、生山、上石見などで5分程度の運転停車が待っているが、いずれも時間的にもそれほど余裕はなく、そうなれば先ほどと同じく既知の撮影ポイントに向かおう。上石見手前の県道からアウトカーブの撮影地だ。クルマを停めて降りてみると、翻って桃源郷のような美しさだった。



 通過まであと10分。再びの「ワンチャンいけるかな?」を唱えながらスマホで1枚シャッターを切ると、まるでそれが合図だったかのように突然に土砂降りになってきた。もともと低かった気温は2℃に降下。ミゾレに変わって来た。展開していた三脚を急いで撤収しクルマに戻ると、今度はアラレに変わって来る始末。もうなんなん!? こうなったら意地の張り合いだ(←誰と?) 3084レを何としてでも撮ってやろうと上石見駅で駅撮りという安全策に出た。




もう止んでるし。やくもと交換のためしばし停車。
2025年11月18日   伯備線  上石見   EOS6D 24-105mm

 数分後、峠からおりてきた「やくも」が通過すると、すぐに3084レは出発。出発時には一帯はまた晴れの領域になっており、あざ笑うかのように列車は走り去って行った。こうなったらあさっては富山へ向かう移動日に充てるつもりだったが、リベンジ決定! ひとまず体勢を整えるべく米子に向かい、戦略を練る。1時間ほど走り大都会、米子に到着。岸本駅近くにある破格の650円の温泉施設で当初の目的であったゴロゴロを果たし、飯を喰うためだけに米子の街に繰り出す。今日は(も)ラーメンの気分なので、敢えて調べず街を流してみて、直感センサーが作動した店に入店しようと思う。約30分市内を怪しく徘徊し、駐車場の広いとあるラーメン屋を発見した。北海道系味噌が売りらしく、メニュー表の上の方にあったネギ味噌を注文。食してみると麺は中太で黄色味のある縮れ麺だったが、スープの方はサッポロ一番の味噌の粉末を1人前に2袋入れたような風味だった。35点。不本意ながら腹も満たされてしまったので、今夜の寝床に向かうことにしよう。今夜は米子から20kmほど。昨日よりはだいぶ下流にある道の駅大山で泊まることにする。昨日寝袋に入りつつも少し寒さで何回か目が覚めたため、今夜は貼る使い捨てカイロを買っておいた。自身、体が耐寒構造なので(太い方ではなくむしろ痩せ型です。BMIは18ほど。夏より断然冬派)、使い捨てカイロを使うのは多分小学生以来。多分血流の集まるところに当てたほうが良さそうな気がするので心臓付近のシャツの上に貼付。今日もビール500mlとワンカップ焼酎をクイッとやって就寝した。 


2025年11月19日

 翌朝、晩酌が効いたのかカイロが効いたのか定かではないが、一度目が覚めただけで朝を迎えることができた。洗面と缶コーヒーを一本やってさぁ参ろう。と勇んだものはいいけれど、今日は鳥取県、岡山県いずれも終日雨予報。昨日の夜見た予報でもそうだったので、本当に撮影が難しそうならば新見から芸備線、備後落合乗り換えで木次線往復の乗りテツデーにしようと計画していたのだが、一晩中クルマの屋根を叩いていた雨は現在は鳴りを潜め、出発の今は止んでいる。とりあえず乗りテツするにも撮影するにも新見方面へと向かい出す。どんどん標高を稼ぎ、昨日突然のミゾレに見舞われた上石見手前の撮影地に到着すると曇ってはいるものの、少し陽が差しそうな兆候が。しばし迷った後、試しのつもりで朝の3082レを撮影してみることにした。昨日1発目の新郷より手前の地点だが、開けたここの明るさは昨日の比ではない。爽やかな朝の大気を感じながらやがてやって来る列車を待つ。遠くからヘッドライトが見え盛大なブロアー音とともに接近してくる3082レ。今日も満コキだ。いざ!




昨日の1042号機と比べ退色の激しい1028号機。あと2年。頑張って欲しいものだ。
2025年11月19日   伯備線   下石見(信)〜上石見   EOS6D 24-105mm

 ゆっくりと、そして空転することなく着実に25‰の勾配を踏みしめながらEF64は登坂して行った。3082レは峠を越えた先の備中神代と新見で長時間停車するため追撃を開始する。谷田峠を越えて岡山県側に突入し、新見盆地へと下っていくと徐々に空が晴れだしてきた。こちら側の予報では今日一日曇り時々雨のはず。もしかして、もしかしてと狭い県道8号を進むにつれて明るくなってくる上空。市街に到着したころは完全に快晴になっていたのだ。紅葉もまばゆいったらありゃしない。沿線の様子を観察しながら到着したのは井倉峡と呼ばれる景勝地。順光で対岸の広石信号所が望めてしまう。早速準備開始だ。  




紅葉は美しいが意外とコキが目立たなくなってしまった。
2025年11月19日   伯備線  広石(信)   EOS6D 24-105mm

 この伯備線貨物運用につく愛知機関区EF64、最後の国鉄型機関車の定期運用としてその去就が注目されるされるのだが、当然1980年代に製造されたとあって老朽化も進んでいることから置き換えは決定しており、JR貨物は愛知機関区に所属しているEF64全車両の今後の全般検査はせず更新しないことを発表している。また伯備線用の後継電気機関車の入札を開始しているものの、既存の形式であるとEH500は勾配線区用ではあるがEF64重連をカバーするための装備と走行性能を持っているためオーバースペックになってしい、またEF210は東海道線のような平坦線で暖地向け用のため、この伯備線には適さない。新形式の登場も噂される中、いずれにしても恐らくEF64-1000の運用は残り1〜2年程度になることだろう。

 そんなわけで紅葉とロクヨン狙いは今年が最後ではなく、桜の季節も雪降るシーンも、もう1回くらいはチャンスはありそうだ。さて天気予報に反して見事なまでの快晴になってくれた現在時刻は9:30。改めて更新された予報を確認しても、岡山県側、鳥取県側も相も変わらず曇りor雨のまま。天候によって撮影したい場所は変わってしまうのでハッキリとして欲しいところだが、今日も作戦30:運70の割合でイチかバチかの撮影地選びになりそうだ。昨日と同じ午後の3084レまでの空いた時間のお昼寝タイム。昨日も同じ時間にやって来たショッピングセンターの駐車場で、ある時刻にアラームをかけしばし目を閉じる。やがて10:45。目覚ましに起こされ市街から外れ郊外に向かう。昨日から何度も往復している国道180号に気になっていた台湾ラーメンの店があり、今日は開店直後に訪れたかったのだ。しばし市街を走り到着。店内に入るとすでにスーツ姿の男性がひとりガッツいていた。愛想のいい中国語訛りのママさんにオーダーを告げ着丼を待った。



 自分の中では恒例になってきた、旅先での「今日の台湾ラーメンとチャーハンセット」。今回は950円で量も適度で大満足だった。しかし満足したものの少し気にかかることがある。実は出発してから今の今まで48時間以上「出ていない」のである。大が。いつも「出過ぎる」ために危機一髪、みたいなレポートを弊HPでよくつぶやくが、今日は真反対。食生活や環境が急に変化したからか何なのか、空腹時でも腹が張っている気がする。今夜は夕飯に少し気をつけよう。そう思いながら再び午後の部に向けて鳥取県側へ移動する。今日は伯備線沿い、谷田峠、県道8号ではなく、新見〜米子の一般的なルートである国道180号で抜けることにした。180号は根雨駅付近で伯備線と合流。そこから上流方面へ向けて移動を開始した。しばらく何地点かを吟味しながらある地点に到着。空模様も安定しており、見上げると晴れ曇り7:3ほどの割合。当面は大丈夫そうだと安心してセッティングに精を出した。

そして今回もね、いきますよ・・・









コレがさぁ

コウなるわけですよ




2025年11月19日   伯備線  根雨〜黒坂   EOS6D 24-105mm

 油断していたのがいけなかったのか、もう本当にね一瞬ですよ、一瞬! 3両目の以降の空コンも虚しさを一層際立たせている。機材をしまい込みクルマをすぐに発進させると、もう晴れの領域になってきた。次の黒坂は3084レは通過だが、その先の上菅で「やくも」交換のため5分停車する。それを利用して上菅の先の良き佇まいの民家バックにチャンスを掛けよう。昨日晴れている中ここを通った際、背後の里山と古民家がまるで昔話のワンシーンのようで、ブックマークに保存していた場所だ。




晴れていれば順光ベッタリの撮影地。とうとう雨も降りだしてきた。
2025年11月19日   伯備線  上菅〜生山   EOS6D 24-105mm

 3084レは次の生山で20分の大休止。しかしこの先行く手の空は重い雲が立ち込めており、期待は全く持てない。峠を越えどこかの渓谷で一発撮影して今日はお開きにしようと思う。




昨年登場した新しいやくも。273系が高速で通過。
2025年11月19日   伯備線  足立〜備中神代   EOS6D 24-105mm


やくも通過後、フレーミングが気になりだして通過直前に立ち位置を変えて大失敗。
2025年11月19日   伯備線  足立〜備中神代   EOS6D 24-105mm

 もう何をやってもダメな日はダメだ。こんな時は気を取り直して心を落ち着けよう。まだ夕方と呼ぶには早い時間だし飯食う時間でもなく、やることが何も無い。と、こんな時のために今回初めて旅先にPCとポケットWifiを持ってきたのだ。というわけでこの文章を書いているのは現在米子市内にあるスーパーマーケットの駐車場。ACコンバーターにつなげ助手席を少し倒しながらキーを叩いているのだが、まあ進むこと! 1時間ほど経ってそろそろ気分転換にドリンクでも買い物に出向こうとクルマを降りると、澄み渡った日没直後の空に大山の優美なシルエットが映える。明日の天気は両県ともに朝から晴れ降水確率0%予報だ。明日は最終日。期待が高まる。このままスーパーの駐車場で本文を書き進め、閉店1時間前となって来たので今夜のメシを調達しに行く。店内に入ると予想通り熱い値引きシールの貼られた弁当・惣菜たち。普段利用している近所のスーパーとは比較にならないほどのお得感とボリューム感だった。ただ今日の日中にお話しした通り、便通がいまだに改善されていないので、気休めにしかならないが、半額の大盛サラダで食物繊維チャージ。あとは普段は絶対買わないような特保のお茶なんかを購入し、地元中学生が騒いでいてうるさいイートインコーナーで平らげた。




半額になったカツ丼と半額の大盛チョレギサラダ。特保のお茶で流し込めば摂取カロリーはゼロになるはずだ。

 最終日の今夜は一昨日も泊まった生山の道の駅。標高も高いため気温も下がりやすいので、またカイロを胸に貼り、寝袋に毛布を突っ込んで就寝した。


2025年11月20日

 今日も今日とて起きてまず天気概況の確認。終日晴れ予報は変化ないものの、ここは山間部のためか厚い霧に覆われており空模様は判断できない。どっちにせよ出発だ。晴れていればあそこ、曇っていればあそこと幾つか候補があり、その都度判断することにしている。上石見の高原に上がると霧は晴れるが、日の出前にも関わらず上空高所で雲が湧いているように感じられる。一発目は昨日と同じここ下石見(信)〜上石見に決めようか非常に迷うが、全く同じ状況になりそうと悪夢がよみがえり先を急ぐ。しかし峠を越えるとさらに状況は悪化していた。薄暗い渓谷に霧が立ちこめ、初日にを撮影した時よりも遥かに暗そうだ。ただすぐ先の備中神代で長時間停車なので、追っ掛けをするならそろそろポイントを決めてしまわなければならない。少し焦りながらもスピードを落とし周囲を観察していると、赤く色づいた紅葉が美しいあるポイントに辿り着いた。




深山幽谷を進む3082レ。
2025年11月20日   伯備線  足立〜備中神代   EOS6D 24-105mm

 思い付きで選んだ撮影地。暗いことを逆手にスローシャッターでサイドを流して正解だった。撮影後、今回何度目かの新見市街に入り、3日連続同じコンビニ同じ時間で朝食を喰いながら空を見上げたが、晴れ予報とは裏腹に低い雲が上級を支配している。もう午前中は晴れそうにない。そうなれば最後に長玉で手堅く編成写真で記録を残しておこうと、2年前、同じ列車を撮影した井倉の鉄橋にやって来た。先客2名様。挨拶して仲間に入れてもらう。




2025年11月20日   伯備線  井倉〜方谷   EOS6D 100-400mm

 ま、こんなもんでしょうね。感動も達成感もないまま、午後の3084レに向けてルーティーンとなった鳥取県側へ移動。数えてみると今回7回目の谷田峠超えをし県境を跨ぐと・・・、そこは別天地、雲一つない快晴の穏やかな高原風景だった。ついに・・・ついに・・・天が見方をしてくれたようだ。ただあと3時間近くあるので予断はできず、ぬか喜びになるのだけは勘弁だ。昨夜弁当を買った鳥取発祥のスーパーの根雨店で昼飯調達。食事後、昨日も撮影した「晴れていれば」順光の撮影地へ移動。3084レ通過1時間前に到着すると、予想通り理想通りの光線具合だった。こりゃぁ〜イイ!!




13:11 やくも16号通過。あと30分。このままキープしてくれ。頼むぜ!
2025年11月20日   伯備線  根雨〜黒坂   EOS6D 24-105mm

 やくも通過後、どこからか歩いてやって来た徒歩テツの方が合流。少し天気の話をして、お互い臨戦態勢になる。と、始まりました。いつものパターン。モクモク・・ モクモク・・ モクモク・・ モクモク・・ モクモク・・!!  そんな音がホントに聞こえてきそうなくらいの見事な陰りようだった。話が違うじゃねーか! 「いや〜終わったすね」と二人で苦笑い。今後の撮影での逆パターンのための貯金を一つ貯めたくらいの心意気で最後の被写体の接近に備えた。


13:40 3084レ通過。朝はフルコン、午後はカラコンになることが多いようだ。
2025年11月20日   伯備線  根雨〜黒坂   EOS6D 24-105mm

 先述の通りこの列車はこの先の上菅、生山、上石見で5〜20分程度の停車があるため、最後の悪あがきとして全ての運転停車を利用して追っ掛けを敢行する。まず昨日雨が降り出してきた古民家バック。上菅で交換するやくもが5分ほど遅れたので、念入りにセッティングすることができた。




次位がカラは良くないっすね。ここはスルーしてもよかった。。
2025年11月20日   伯備線  上菅〜生山   EOS6D 24-105mm

 次っ! 生山で20分の停車時間で追い越し、国道沿いからのインカーブへ。一昨日雨上がりの午後の光の紅葉が美しかった場所だ。




生山からは日野川沿いの景観から一気に標高を上げ高原地帯へ。晴れれば最高の場所になるはずだった。
2025年11月20日   伯備線  生山〜下石見(信)   EOS6D 24-105mm

 ここからは少し時間との勝負。無理しなくても安全に追い抜くことはできるのだが、次の上石見での停車時間はたったの4分。片通やバカ遅い軽などが現れたらTHE ENDだ。今旅最後となる8回目の谷田峠を越え南下。スムーズに、かつ安全に目的地へ到着することができた。この時季の深い山間のこの時刻になると、もう思っていたよりずっと暗かった。


ここは朝向けの撮影地。
2025年11月20日   伯備線  足立〜備中神代   EOS6D 24-105mm

 「やれやれ、やっと終わった」というのが正直な感想だった。EF64はまだ1年は大丈夫とのことなので、万が一来年、自分が生きていれば桜の季節や同じく紅葉も再チャレンジしたい。ところで休みはもう1日あるが、いつしか富山地鉄はどうでもよくなっていたのと、今回の行程中いろいろやるべき仕事を思い出してしまったので、明日は休日出勤し、この地から撤退することにした。至近の新見ICから高速に乗りひたすら東へ。もうすぐ終了が伝えられているETCの「0時かすったら割引」を適用させるべく連続運転で速度調整をしながら目的地の地元ICを0:02に通過し無事成功。700kmのウイニングランになるはずだったが、成果には満足することはできなく、ついて出た言葉は「恥ずかしながら帰って来ました」だった。