2008年、特雪追跡第2弾! 信越本線背合特雪を撮る。
2008,2/7

 先日の1月31日只見線で初特雪を戴き、無事帰還することの出来た自分は、平穏の日々を過ごしていた。毎日掲示板を見て、今日特雪が出ちゃったらどうしようとかハラハラせずに生活できるこの達成感。排雪中のDD14を撮影できたことで「ちょっと大人のテツしちゃった」という一種の余裕ができ、これからの休日は終焉迫る首都圏のEF65でも大人しく近場で撮影しようと思っていた。なぜなら私が只見線で雪に戯れていたその頃、同日、米坂線でも特雪が出動し、二山越えた向こうでは結構な騒ぎになっていたらしく、特雪の二大聖地と言われた只見、米坂と特雪が出てしまったので当分は無いかのようにも思われたためだ。そんなある日、またもや2chの特雪板で妙な書き込みを発見した。「2/7 真」・・・? ま、ま?って何だろう。上越線は「嬢」というのはわかっていたが、真って・・・? 特雪があるところといえば、只見、米坂、津軽、北上、奥羽、上越、信越・・・。あっ!そうか!「真」って「シン」=信越本線かー! でも信越本線の特雪って例年運転回数少ないんじゃなかったか? 今年の雪も昨年ほどではないが、かなり地球温暖化の進行っぷりをあらわしているほど少ないはず。でも前回の只見では2chの情報に見事ヒットしたわけで、そうたやすく見過せるネタではない。ならば行く! ガセでもいい。もうなにふり構っていられない。金に糸目はつけない。こうなればヤケクソで本年5度目の特雪撮影に出発した。
 23時頃出発。この日は関東地方も寒く、夕方からミゾレ混じりの雪が断続的に降っていた。第三京浜から環八へ。比較的流れの良い環八を走っているとミゾレは本格的な雪になってきた。これから雪国に向かうには自分にとっては劇的な気象の変化が楽しみなところだけど、前祝としてはいいかも。カーステを冬ソング特集に切り替え気分を盛り上げていたが、関越に入り川越を過ぎた頃から雪は止み、星空が見えてきた。群馬県に入り、いつもは直進して新潟方面に向かう藤岡JCTを、今日は左にステアリングを切り長野方面へ。いつものように居眠り運転をしながら、本日は松代PAでノックダウンとなった。
 30分ほど仮眠する予定が、起きると7時半。3時間も寝てしまった。ヤバイ。もし特雪があればこの時間、二本木に停車中のはずだが、携帯で掲示板を確認してもDD14確認のカキコがない。よくわからないまま上信越道を北進する。特雪は直江津〜黒姫の運転が主であるそうだが、黒姫を過ぎてもほとんど路肩に積雪は無く、空振りが疑われたが、数キロ走った妙高高原付近から猛烈な吹雪となった。中郷ICで高速を降りスイッチバックの二本木駅へ。構内をのぞくといるはずのDD14の姿はなかった。やっぱり。あの程度の雪では特雪は出動しないのだろう。諦めてまた300kmの道のりを引き返そうと駅舎の扉を開けると、三脚とカメラをもった青年が雪をかぶって入ってきた。思わず「特雪今日動いてますか?」とたずねるとデジカメのビューアーを見せられ「来てます!もうそこまで来てます!」と興奮しながらDD14の投雪の画像を見せてくれた。すると情報交換をする間もなく駅前の踏切が鳴り、赤い機関車がゆっくりと通過した! やはり投雪しながらのことだけあって所定よりかなり遅れている。しかしまだ出発の時刻までかなりあったので、スイッチバックのこの二本木にバカ停するのだろう。急いでホーム先端でカメラを構え入線を撮ろうと待ち構えていると、バックしてくるはずのDD14はそのまま本線を登っていった。早速追撃開始。信越本線撮影は初なので土地勘は全く無く、走りながらカーナビを操作して線路に近づける道を検索して爆走する。ようやく市街を抜けた雪原の踏み切りを探し当てて行くと、すでに10名以上のテツ達がDD14を待っていた。すでに踏切は鳴っているものの、特雪の速度は遅いため、かれこれ5分以上遮断棒は下がったまま。遠目にDD14を見ると作業をしているようで、大きな放物線を描いた投雪が美しく空に描かれていた。しかーし!




つい数100m手前までは投雪していたが、直前にウイングを閉じてしまった。でも掻寄羽は回っているのでセルフ顔射状態。
2008.2/7    信越本線   二本木〜関山   EOS5D 100-400mm

 気がつくとさっきまで降っていた雪は止み、激しく晴れていた。晴天下での特雪。いつかやりたいと思ってたシチュエーションに、今日のこの機会は決して逃してはいけないものだと心に誓った。しかしウイングを閉じて通過するDD14は結局この区間は作業しないようで、回雪のように通過していった。クソーッ!! メラメラと闘志が沸きまた追撃! ・・・といってもほとんど撮影地を知らないので追っかけで先行する他のテツ達の車の後を尾行して良さげなポイントに連れて行ってもらう、他力本願型追っかけ。しかしこの区間、道路と線路がかなり離れて並走しているため、特雪を見失う危険がある。先ほどのウイングを閉じてしまった踏切からしばら追っかけ、次の駅、関山に到着。しかしテツたちが駅構内でスタンバっているのでまだ来ていないだろうと予測してさらに先へ進む。やがて道路をオーバークロスする築堤下に到着。フカフカの新雪の築堤をよじ登り線路際へ。順光で陽が差すアウトカーブのお立ち台は5人で一杯だろうと思われるスペースだったが、続々と後続が到着し、一瞬にして黒山の人だかりになってしまった。ベストポジションを獲得できなかった敗者は、場所を得るため線路ギリギリに近づくが、それでは特雪はウイングを閉じてしまう。しかし迫力のある画像を撮りたければ線路に近づかなければならず、その辺の見極めが難しいところ。お互いに声を掛け合って全員が勝者になれるよう非常線を張った。



あっぱれ! 順光の中、キラキラの雪のアーチを造り出すDD14撮影に成功。念願叶った!
2008.2/7    信越本線   関山〜妙高高原   EOS5D 100-400mm



後追い。DE10のプッシャーではなく、DD14同士の背合重連。
2008.2/7    信越本線   関山〜妙高高原   EOS5D 100-400mm

 見慣れた魚沼地方のベタ雪と違って、ここ信越はパウダースノー。純白の放雪に心奪われ、しばし放心しそうになったが、のん気に余韻に浸る間もなく次のポイントへ。今度はサイドから狙って、背合重連を記録したいので、いかにも谷へ投雪しそうなセメント工場前の丘に立った。



見よ!これがDD14332+DD14327の背合重連。ただし投雪はチョロチョロ。
2008.2/7    信越本線   関山〜妙高高原   EOS5D 24-105mm

 ここからは線路と道路は微妙に離れる。地図で見ても妙高高原駅まではお手軽に撮影できそうなところはなさそうなので、国道に出て駅を目指した。いつものように爆走しなかったが、いつの間にか特雪を抜いたようで、駅に着くとDD14は入線していなかった。妙高高原進入を一望できる黒姫側で待ち構え、望遠レンズを400mmいっぱいに伸ばすと、すでに雪煙の塊が駅構内に近づいてきた。



カメラを構える一般人も数名。駅構内なのでウイングは閉じるが、立ち上る熱気がDD14の戦いの凄まじさを物語る。
2008.2/7    信越本線   妙高高原   EOS5D 100-400mm

 まだ黒姫への発車は時間があるようで、出発信号は赤のまま。ここで一息つき仕切りなおして分水嶺の峠に挑むのだろう。初撮影地ゆえロケハンもしなければならないし、早めに撤収して先で待つことにしよう。と車に乗り込もうとした瞬間。DD14のヘッドライトが消え、テールランプが点いた。折り返すのか?それとも構内排雪か? しかし朝の出来事を思い出すと、黒姫から峠付近までは積雪は低く、妙高高原近辺から北側の平地が深い雪だったことを思い出した。これはもしやもすると黒姫までは行かずここで折り返しだ! そうとなれば駅撮り。おそらく普電に退避させてから出発するのだろう。入場券を買い求め駅構内へ。




ラッセルの軽快感とちがい、ロータリーは独特の威圧感がある。
2008.2/7    信越本線   妙高高原   EOS5D 24-105mm


メカニカルな造型が男心をくすぐる。カ・・カッコイイ・・・。
2008.2/7    信越本線   妙高高原   EOS5D 24-105mm


今では廃れたが、かつては関東と信越を結ぶ大幹線だった面影を見つけた。
2008.2/7    信越本線   妙高高原   EOS5D 24-105mm

 やがて直江津方の332号機の前照灯がつき、出発体制に入ったようだ。すぐに車に戻りこちらもスタンバイ。帰りの時刻が分からないので、発車を確認してから、途中で追い抜く計画だ。さて今回の特雪はDD14の背中合わせの重連だ。背合(はいごう)重連と呼ばれ、通常はプッシャーであるDE10に押され片道だけ投雪して、帰りは羽を閉じてスゴスゴ引き返すのが普通だが、ここ信越本線と上越線の特雪はDD14同士をくっつけた背合重連で行き帰り共に作業が出来る。複線の上越線ならまだしも、この単線の信越線はなんでわざわざ背合重連なのかは、浅学な自分には良く分からない。ともかくこの信越本線では背合なのに、作業は行きの片道だけで、返し直江津行きは回雪のため通例では投雪しないらしいので、少し急ぎめに関山に向かう。順調に国道を進み、関山到着。まだDD14は来ていないようだ。しかし10分たっても20分たっても愛しの赤いボディーは姿を見せない。投雪作業しないため行きよりは少し早く到着するだろうが、あまりにも遅い。ここで考えられるのは2つ。@回雪は以外に速くもう先行してしまった。 A1発目に撮った踏切の場所のように作業しないところがあったので、帰りに作業してきて、まだ到着してない。 この辺で他にカメラを構えたテツがいれば@<Aであるが、一般人しかいないので@>Aという公算になる。orz・・・と諦めかけたその時、電車しか走らないこの信越本線でガラガラとディーゼルエンジンの音が聞こえてきた。キ、キ、キターー!! 投雪作業している! ということは直江津方DD14332の側方投雪が拝めるかも知れない。そういえば1発めにウイングを閉じられて見事にスカを喰らったあの踏切に行けば・・? 思いつくや否や駅前ロータリーを出て、二本木に向かう一本道を駆け抜けた。



邪テツのおかげで見事な側方投雪をゲット。逆光に輝くパウダースノーが美しい。
2008.2/7    信越本線   二本木〜関山   EOS5D 100-400mm

到着するとすでに踏切は鳴って遮断棒が降りており、投雪しそうな反対側にはいけず、已む無く20名以上の大多数のテツ集団とは反対側の、架線柱側からの撮影を余儀なくされた。仕方なくファインダーを覗きながら定位置を決定。三脚を立てビデオをセッティングした時、踏切から数100m向こうの雪原にテツ2名が待機していることが判明した。近づくDD14の白い放物線の着地点は徐々にその2名に接近するが、彼らは一向に退こうとしない。どうなるのかと思いきや、彼らの直前でDD14は停車し投雪をやめ、反対のこちら側へ投雪し始めた。やった! 俺ラッキー、他の大多数アンラッキー。当然現場は大ブーイングだったが、自分は立ち去るとき心の中でつぶやいた。「サンキュー」と。
 この後、しばらく追っかけをしたが、どこもウイングをとじたままの回雪状態で、往路には入らなかった二本木のスイッチバックに入線。先行して雪も少ない二本木〜新井で回雪覚悟で本日最後の撮影となった。



調子が悪いのか、入念に軌道点検をしているのか、息も絶え絶えのDD14は歩くほどのスピードで高原を降りた。
2008.2/7    信越本線   二本木〜新井   EOS5D 24-105mm

 大満足の特雪捕獲の旅になった。先週の只見特雪といい今回の信越特雪。今年か来年までの運命の貴重な特雪を撮影できて、なんだかを上げたような錯覚に陥ったが、基本的にはみみっちいので、まだ昼過ぎだったため、高速代をケチって国道18号をひたすら走り、群馬県の松井田妙義ICから関越に乗った。