特急街道 国鉄色485「雷鳥」を捕獲する
2008,4/22
 高度成長期、全国の幹線の速達化を促進すべく登場した交直特急電車「485系」。全国各地の異なる電源方式にとらわれないマルチな性能のおかげで2008年現在でも、まだ活躍の場は広く残されている。しかしオリジナルの国鉄特急色を堅持した485は日本海縦貫線の雷鳥が最後の活躍舞台となってしまった。九州地区にもDo2編成が国鉄色で復元され残っているが、遠い遠いはるか南国であることと、いつどの運用に入るかは運次第なので、撮影に行くには非常にリスキーな対照である。そこで2009年度に引退が決まった金沢の485オリジナル国鉄特急色を捕獲する旅に出ることにした。
 日本海縦貫線をゆく国鉄色485は、時刻表を見れば確実にその美しいクリームと赤のツートンカラーを頂戴できることが約束されている。充当される列車は特急「雷鳥」。新幹線と並走していない大都市間の輸送なので1日の本数は非常に多く、まさにかつて全国津々浦々にあった特急街道。効率的な撮影が出来そうだ。また一部の列車は大阪方にパノラマ車を従えているが、これも時刻表を見れば簡単に分かってしまう。北陸線内ではフィールドが広すぎてしまうため、今回は湖西線周辺にフォーカスを当ててみたいと思う。また以前から行ってみたかった北小松〜近江高島の琵琶湖をバックにSカーブで勾配を駆け下りる有名なポイントも押さえて見たい。
 バイクで23時頃横浜出発。東名高速、深夜。押し迫るようなトラック群をすり抜けるようにして駆け抜け、名古屋手前の上郷SAに到着したのは3時頃だった。食堂のベンチで横になる。3時間ほど仮眠して朝の運用から撮影するつもりだったが、寝過ごして目覚めると8時過ぎ。慌てて起き出して、目的地まで残り200kmの距離を急いだ。木の本ICで降りて琵琶湖北岸を経て追坂峠へ。有名な清水桜(しょうずざくら)を絡めたポイントを探し当てると、時すでに遅く、桜はただの新緑になってた。仕方ないので国道の峠から雷鳥13号を俯瞰撮影。



線形も良い湖西線を130km/hで飛ばす485。田畑の水張はまだだったが色付き始めた新緑が眠気を吹き飛ばしてくれた。
2008.4/22    湖西線   マキノ〜長原   EOS5D 24-105mm

 いつものことだが今回の撮影紀行も、あまり計画を練らずにやって来た。ネタ列車なら綿密に計画を立てるところだが、485雷鳥はそれなりに本数もあるのでかなり油断しきってこの地に乗り込んできた。上記の雷鳥13号を撮った後、峠の道の駅で今日、これからの計画を練ろうと時刻表を開くと、意外や意外。夕方の撮影可能時間まで485雷鳥は3本程度しかないことが分かった。これ以外の午後の早い時間の時刻表に掲載されている雷鳥は4本とも土日運転。だったら上郷SAでのん気に寝ないで朝から精力的に活動すれば良かった・・と後悔しても始まらない。次の列車まで時間があったので、2年前の旅行中、偶然立ち寄った南今庄付近が、開けた雰囲気だったのを思い出し、次回撮影に来た時はこの辺で撮影しようと思っていたので、敦賀に出て北陸道で1区間。今庄ICで降り少し戻り、南今庄駅周辺に到着。次の雷鳥17号をどう調理しようかと駅周辺を散策。山肌に咲き遅れた桜があったのでサイドで構えることにした。




陽の当たらない北側斜面だからこそ咲いていた桜。当然昼は逆光になるのでかなり露出補正をかけてみた。
2008.4/22    北陸本線   南今庄〜今庄   EOS5D 24-105mm

 この後は夕方まで485雷鳥は無い。次に狙うのは最大の目的である近江高島〜北小松の琵琶湖バックS字カーブ。地図で確認すると、この線形は夕方なら西から順光で光線が当たり、かなりエロい照射になるだろう。時間もあったので北陸旧線の廃線跡県道を走り、DF50になったつもりで敦賀まで緩やかな勾配を下った。そして琵琶湖西岸をのんびり南下。目的地に着くと、なるほど、琵琶湖をバックに雄大なSカーブで駆け下りる湖西線の線路が一望できる。太陽も西に傾き、光はオレンジ色を増してきた。最高の舞台を間もなくやってくる485を失敗しないように、直前のサンダーバードを幾度かフレーミングを変えて練習撮影。露出ヨシ!構図ヨシ! 準備は万端で雷鳥34号を待ち構えた。



念願の撮影地でエロ光線を浴びて大阪へ急ぐ雷鳥34号ゲット。ボン489もここで・・・欲求はとどまることを知らない。
2008.4/22    湖西線   北小松〜近江高島   EOS5D 100-400m


 陽も落ちた琵琶湖西岸をさらに南下。京都市内で国道1号を東へ。2ヶ月前に開通したばかりの新名神を走りたかったので、瀬田ICから高速に乗り、真新しいアスファルトの新名神の走りを楽しみ、横浜にたどり着いたのは午前1時を過ぎていた。