本年の特雪の出動状況を分析すると、1月22日の北上線を筆頭に、2週間のサイクルで各地に特雪が出ていることが読めた。毎日のように特雪が各地で運転される週の次は、どこもザリガニは出ず、また次の一週間で連日特雪アリという感じだった。先日の2月7日信越特雪の後、どこからも特雪運転の知らせはなく10日以上経っていた。積雪も2月中旬を過ぎたあたりから上越地方はピークに達し、そろそろ最後の仕上げというべき特雪が運転されることは誰の目から見ても明らかだった、そんなある日、また某巨大掲示板に複数の特雪運転事前情報が上がっていた。自分が休みの2月19日は只見?米坂?上越?とさまざまな憶測が飛び交い、経験上そんな日はどこかしらであるものは分かっていた。早速雪レの同士K1トップ氏に連絡を入れ、仕事の調整を入れてもらい、今回は2人で新潟に向かうことになった。
おおよその話の流れでは、我々の行く2月19日では只見線あたりが怪しいとの情報を得、埼玉県のK1トップ氏宅に向かい、彼を拾い、一路関越道へ。今回は2人いるので、単独での特雪撮影には天敵とも言える睡魔には、運転交代で対処していけるのでかなり心強い。この日は自分がハンドルを握り関越トンネルを越え、珍しく小出ICのすぐ手前の大和PAまで無事到着することができた。車中2時間ほど仮眠を取る。
6時過ぎに起床。すぐに車を走らせ小出駅に到着する。駅構内を覗くと、特雪があればこの時間、只見線ホームに鎮座しているDD14の姿は無く、無情にも一番列車が到着する頃だった。あれだけ事前運転情報があったのに本命の只見線を外してしまった。まぁそんなに落ち込んでばかりいて帰るのもなんだし・・と思いながら只見から帰ってくるDD15を撮って撤収することにした。しかしDD15すら走っているかどうかも分からないので、大白川へ分け入りDD15を迎えに行く。ここなら停車時間もあるので只見から帰ってくるDD15を確認してすぐ出発すれば、撮影地大倉沢で迎え撃つことが出来る。しばらく待っていると、峠からDD15が降りてくるのが見えたので早速大倉沢へ。
モノトーンの世界を行くDD15。往路に作業するので回雪。ロータリーは来るのか!?
2008.2/19 只見線 魚沼田中〜越後須原 EOS5D 100-400mm
定時にDD15通過。もう雪関係は諦めて素直に関東地方に帰り、八高線で運転されているDD51+12系でも撮影しようと決めた大白川からの帰り道、掲示板の新たなカキコ発見 「いま長岡のDD14がどこかに出発しました・・」 なに!? 長岡からどっち方面に行ったのかが重要なのにそれを述べていない。この長岡出発という時点で、新津から通常出発する米坂は消えたが、候補としては時変をかけて只見、信越。さもなくば上越が残る。さらに7時50分の書き込みだったので只見特雪なら、もうすでに小出に着いているはず。早速小出に舞い戻るもDD14は来ていない。信越か? でもその後の書き込みでDE10に推されて・・とあるので背合を使用する信越は消え、残るは只見か上越。さぁどっちだ!? 長岡〜小出は約30km。8時前に長岡を出たとすれば、途中退避を繰り返しながらでも2時間というのはあまりに遅い。考えた挙句、すでに上越線の小出より越後湯沢方へ作業を開始していると予測して、追撃開始。小出ICから高速に乗り湯沢ICを目指して140km/hで雪道の高速を爆走する。死ぬかと思った。途中関越道と上越線の交差部で目を凝らして線路端の除雪跡を見るが、未作業状態。追い抜いた訳でも無さそうだし考えれば考えるほど謎は深まるばかり。と、ここへ新たな書き込み。「DD14は328が充当・・・」 328といえば1月31日只見線の特雪に就いたカマ。小出から只見方へ作業するので上越線に入ればロータリーヘッドは新潟方。ということは一旦越後湯沢へ回送で送り込み、折り返し作業をしてくる、下り特雪だ! なるほど、それならつじつまが見事に合う。関越を湯沢方へ走る我々は追撃ではなく、迎撃していることになる。湯沢手前の塩沢石打ICで降り、大沢駅へ。雪壁は削り取られた跡が無く、まだ特雪は来ていないと見た。駅に到着すると無人駅の大沢駅は、指令から普通列車の時刻変更を伝える放送が流れていた。間違いない。特雪は確かにここに向かって来ている! 駅に到着したときは我々2人だけだったが、その後5名ほどのテツが到着し、一緒にホーム先端の駅侵入を狙えるポジションをキープした。「間もなく下り列車がまいります」と、列車進入を知らせる放送が流れるが、通過していくのは「はくたか」や普電ばかり。1時間ほど待つと、列車進入放送が流れても10分以上、何の列車も通過しなかった。ロータリーは速度が遅いから来たかな・・・。しかしディーゼルの音は何も聞こえない。カメラを構えて15分。そろそろくたびれてきた頃に、みんなの大好きなパタパタというロータリー音が林の向こうから聞こえてきた。
満を持して登場。複線区間なので右ウイングは閉じる。1月31日只見線と同じDD14328+DE101680のコンビ。
2008.2/19 上越線 大沢 EOS5D 100-400mm
駅を出ると再び左ウィングを開いて作業再開。
2008.2/19 上越線 大沢 EOS5D 100-400mm
待っているとき、小出付近でウロチョロしていた新型排モのENR1000がさらに怪しい動きを始めたとかで、上越線名物、伝説の上下線同時排雪「グランドクロス」かとも噂されたが、そんなことはなく、このDD14追っかけに専念する。上越特雪は越後湯沢〜浦佐までの区間の排雪で大沢を抜けると、かなり周辺まで住宅が立ち並んでいる場所が多い。よって排雪方向、追っかけの駐車場所、撮影場所の確保など、かなり難易度が高い特雪撮影が予想された。
DD14がいるからこそ「はくたか」は今日も疾駆できる。そんなことはお構いなしに高速で離合する681系と、黙々と作業をこなすDD14。
2008.2/19 上越線 塩沢〜六日町 EOS5D 100-400mm
日本酒で有名な八海山バック・・かと思ったが巻機山という名の山だった。
2008.2/19 上越線 六日町〜五日町 EOS5D 100-400mm
投雪を真横からズームアップ。乗務員にとって特殊排雪は緊張の連続作業。
2008.2/19 上越線 六日町〜五日町 EOS5D 100-400mm
特雪はこの後、次の次の浦佐までの作業のはず。しかし成果に満足した我々は機材を撤収して帰ることにした。一昨年から参戦した特殊排雪列車(ロータリー車)の撮影は今年初めて3回に渡って成功した。最初は運任せだったが、天候状況、機関区の機関車の状況、何より見たままなどの掲示板の情報が今冬の成果につながったと思う。自分にとって今年は初ということもあり型式写真が主になってしまったが、来年は余命幾許も無い特雪と、日本の冬の情景を記録できるような、そんな大人のテツがしてみたい!?
最後に2月22日現在の、2008年冬の特雪出動実績をまとめてみた。
月日 | 排雪作業線区 | 特記事項 |
1月22日(火) | 北上線 | 今年初の特雪。北上線特雪は本年最後。 |
1月31日(木) | 只見線 米坂線 | 只見線大白川駅でDD14328が信号柱を破壊。 |
2月4日(月) | 米坂線 | 断続的な作業。 |
2月5日(火) | 只見線 | 大白川〜只見で作業。 |
2月6日(水) | 北上線 奥羽本線(院内) | 北上線の作業を終えたDD14305がそのまま奥羽へ転戦。 |
2月7日(木) | 信越本線 | DD14同士の背合重連。往復作業あり。 |
2月18日(月) | 米坂線 | 今年初の段切。しかし羽前松岡でDD14故障のため打ち切り。 |
2月19日(火) | 上越線(下り線) | DD14328による越後湯沢〜浦佐の下り線作業。 |
2月20日(水) | 只見線 奥羽本線(院内・板谷峠下り) 信越本線 陸羽西線 | 只見段切。奥羽は事故ったDD19が2年ぶりの登板。 |
2月21日(木) | 奥羽本線(板谷峠上り) 上越線(上り) |