DD16×2牽引。SLDL信越本線120周年号。
2008,11/22
 珍しく土曜が休みとなった。いや、むしろそうした。今回は信越本線開業120周年を記念したイベント列車、「信越本線120周年号」を頂戴するために前もってシフトの調整をしていた。この列車は長野〜黒姫の2往復で、往路はD51が牽引、復路はDD16の重連が牽引する、いわゆるネタ列車だ。SLは自分にとってはどうでもいいので、今回のターゲットは片道2回の、長野のマスコットDD16の撮影がメインである。
 今回は金土の2連休であったので、初っ端の金曜は大糸線で国鉄色52を撮ってから、翌日信越に移動しようとも考えたが、天気予報は11月というのに何と雪で、山間部では積雪もあるのではないかとのこと。紅葉とチビロクを気楽に戴く予定だったのが、このままでは危険と判断し、大糸線はウヤにして、近所のイエローハットで車のタイヤをスタッドレスに交換、ウォッシャー液を冬用のものを購入。冬武装で長野に乗り込むことにした。
 上信越道小布施PAで3時間の睡眠のあと、さらに高速道を北上。長野を過ぎて黒姫越えに差し掛かると前夜の降雪が路面を覆っていた。気になる天気は雲の多い晴れ。視界もあまり良くない。高速を降りて信越本線超有名撮影地の黒姫山バックに到着すると、予想通り人、人、人・・。下りのSLは行ってしまっているが、DD16狙いの総勢50名以上が跨線橋の上に集結していた。皆SL目当てで、どうせチビロクなんてついで程度に皆思っているんだろう。オレはそのチビロク目当てで来たんだから、何人か移動しないかと期待もしてみたが、放列は増えるばかり。ベストポジションは入る隙間すらなかったので、ちょっと離れてしまうが小枝が邪魔なビミョーな隙間を見つけてターゲットを待った。



黒姫山は雲の中。愛らしいDD16は総括制御ができないので、機関士が各車両に乗り込んで協調する。
2008,11/22  信越本線   黒姫〜古間   EOS5D  24-105mm

 さて、午後の列車までどうするか。SLなんかのために場所取りをする気もないし、午後のDD16まで5時間以上もある。ここで諦めかけていた第二案が浮上した。今日、信越海線の方では新潟〜糸魚川に新津の国鉄急行色キハ58の団臨「急行ひめかわ」が運転されている。時間的に非常にタイトになるが、これの往復を海線で撮りに行くと、午後のDD16にかろうじて間に合いそうだ。挑戦してみる価値はある。すぐに上信越道に乗りさらなる北上。日本海を目指す。前から訪れてみたいと思っていた有間川で急行色を狙うことにした。山間部を抜けて日本海へ出ると、そこは見事な快晴!駅周辺を何度も往復してアングルを探ってみるが、上り方面をキメるにはどうしても厳しい。やがて通過時間になってしまったので、木造の有間川駅舎と日本海を絡めて、通過する一瞬をキメることにした。駅構内を見下ろす高台にセッティング。間もなく通過、という時反対方向から下り普通電車がやってきた。カブる心配はないが、これではこの普通電車が風情ある駅舎を隠してしまう。と心配しているうちにディーゼルの音が近づいてきた。と、ここで何を思ったのか魔が差して縦振りの流し撮りに作戦を変更した。



・・・・。
2008,11/22  北陸本線   有間川   EOS5D  24-105mm

 早速プレビューを確認してみたが、気の迷いが災いして予想していたイメージにならず激しく後悔。呆然としながら返しの場所を探すべく移動することにした。この駅に来る時、ちょっと見当を付けておいた漁港バックが出来るであろう小高い丘を思い出した。おそらくここからの俯瞰が雑誌などでよく見る定番アングルなんだろうが、その丘の奥に、さらに高い足場があるのを発見した。ここは是非登ってみる価値がある。返しの回送直江津行きまで約1時間半ほどあったので、事前に下調べ。手ぶらの軽装で山を登った。林の小径を歩き、人ん家の庭先をかすめ、さらに登ること15分。山の頂上に出た。頂上は大規模な市民広場のような公園を造成中で、山の反対側から回ってくれば車でも来られるような車道が通じていた。眼下に目を移すと、群青色の日本海と小さな漁港、そして北陸本線の線路が光っている。上空を行く雲の密度は高いものの、隙間から太陽光線が鋭く下界を照らしている。下から登ってくる心地いい海風が、15分の登山で吹き出た汗を乾かしてくれた。爽快! 大気も済んでいるので返しはここで撮ることにしよう。今登ってきた山道を下り車に戻って、EOS5Dに望遠の白レンズを装着、三脚とビデオカメラを手にしてもう一度山道を登った。


練習475。右下手前の丘が従来のアングル。あ、テツが一人いますね。
2008,11/22  北陸本線   有間川〜谷浜   EOS5D  100-400mm

 この丘の上で本番を待つ間、しばらく風に吹かれていると、遥かかなたの海上にデカイ雲が影を落としているのが見えた。その影は強い風にぐんぐん押し流されて、こちらへ近づいてくる。最初は気にも留めなかったが、その雲の移動速度や方向と、本番である58の通過時間を考えると怪しげな展開になってきた。


やはり・・。曇り領域とキハ58の見事なまでのグランドクロス!おかげでコントラストのないフツーの風景になってもうた・・。
2008,11/22  北陸本線   有間川〜谷浜   EOS5D  100-400mm

 さて・・・落ち込んでいる場合でない。今度こそDL信越までの時間が厳しい。速攻で撮影機材を撤収し、丘を小走りに駆け下り停めておいた車に乗り込み、猛ダッシュで北陸道名立谷浜ICへ急ぐ。高速に乗った頃、撮影場所を考えていなかったので運転しながら思案する。あまり信越山線で長野方狙いの撮影地など知らないし、時間も無いので開拓している場合でない。ここは朝撮ったアソコしかないのでは・・と考えるうちに妙高高原の上り坂に差し掛かった。海沿いの雲の多い天候とは打って変わって山間部は激晴れ!これはアソコしかない!そうと決まれば目指すは今朝、雲が姿を隠していた黒姫山バックに目的地を絞るしかない。しかしそこは信越山線では一番人気のスポット。今朝の撮りテツ隊の多さを思い出すと、直前に行っても撮影場所と車の駐車場所はもう無いだろう。しかし新たなポイントを開発しているヒマなど無く、「見るテツ」覚悟で信濃町IC出口を通過した。
 現場に到着すると、朝同様、跨線橋には黒山の人だかりが出来上がっていて、全く余地が無い。しかし幸いな事にこの撮影地の駐車場所の入り口付近に車1台分のスペースがありそこに駐車。撮影場ポイントはというと、人だかりから少し離れた今朝と全く同じ場所に三脚を立てた。ビデオをセッティング、ズームを繰り出し画角調整。露出確認のため幾度かシャッターを切ってようやく落ち着くと通過5分前であった。


夕方になりようやく黒姫山が姿を見せてくれた。西日に輝くDD16×2と12系が美しい。
2008,11/22  信越本線   黒姫〜古間   EOS5D  24-105mm

 最後の最後でイメージしていた画になってくれた。満足感に浸り車に戻ると、50台ほど停まっていた車の一部が、追っかけをするのか国道へと走り去っていった。自分はこの沿線の知識は少ないので、この黒姫山バックが終わったら帰宅の徒に付こうと思っていたけれど、他の追っかけチェイサーの熱い走りを見てしまうと、こちらまで血がたぎってしまう。ならば追っ掛けよう!自分は車では一番後に来たので出口に近いところに停めていたため、現場が脱出パニックになる前に、国道へエスケープすることが出来た。南下開始! しかし次はどこで撮れるのかも良く知らないので、いつものように取り敢えず先行テツ車を尾行。っていうか最近このパターンって多くないか?オレ!? 勉強不足、調査不足、何より追っ掛けに対するパッションが足りないんだろう。やってなんぼ、挑んでナンボの追っ掛けはまだまだ続く。やがて盆地に降り、先導車は一斉に右折。後を追うと広い田んぼの真ん中の築堤に連れてきてくれた。線路には今にも沈まんとする太陽光線が届き、背後の山の紅葉をさらに紅く染める。テツは30人ほど。沈みかけた太陽光線が作った山影が猛烈な勢いで線路に接近し、ついに架線柱にまで忍び寄った頃、ホイッスルが聞こえてきた。


車両は完全に翳ってしまったが、バックの山の紅葉が鮮明に浮かび上がった。
2008,11/22  信越本線   豊野〜牟礼   EOS5D  24-105mm


 長野市内のGSで、泥とホコリで真っ黒に汚れた車を洗車&給油。昼は仮眠も出来ないほど走り回っていて眠かったので、睡魔に襲われたらすぐに高速道に入って最初のSAなりで仮眠しようと決め、長野市街を後にした途端に限界を感じ、すぐに更埴ICから上信越道に乗った。さかきPAで3時間も寝てしまい、日付が変わった頃に自宅に到着した。
 今回の反省点→DD16のような外観的に特徴ある車両のディティールを表現できなかったこと。あまりにも欲張りすぎたため、メインのポイントで早めに場所取りをできずに妥協したこと。・・・・まぁいつものことだからまたやってしまうんだろうな・・自分。