秋葉原へお買い物 〜 そのままテスト撮影ツーリング

2011.10/10

 珍しく祝日が仕事休みとなった10月10日、タイイクの日。せっかくのカレンダー通りの休みだし、鉄道の日も近いので、なにやらネタでもないものかと一連の情報をあたるが、そういう日に限って何にもないってことはいつも通り分かっている。では切り替えて、平日でもできる物件を探すことにした。しばらく私的な定期巡回サイトを見て回っているとどうも数日前から烏山線で国鉄色のキハ401003と401007がペアを組んで連日運用に就いているということが分かった。ほぅ、キハ40とは言えども国鉄色ペアってのは見たことが無い。わざわざ国民の休日に行くまでもないが、これと言って見当たる物が無いのでひとまず明日は烏山線に向かうこととした。そういや前回烏山線訪問時、早朝から撮影しようと前夜現地入りして、少々割高な宇都宮の健康ランドに投宿したのだが、寝る前に晩酌のつもりで飲んでしまったビールが仇となり、翌日はチェックアウト直前に目を覚まし烏山線入りしたのは10時過ぎという始末。だったら少し早起きして東北道を飛ばした方が良かったという教訓を学んでいたので、前回の反省を活かし、目覚ましを5時にセットした。その前にもう一度烏山線の運用をチェックしておこう。するといつの間にか連日運用を組んでいた国鉄色コンビは、翌朝の一往復を最後に宇都宮の基地に取り込まれ、どちらか一方の国鉄色が組成から外れる運用になっていることが分かった。これなら別に明日急いでいかなくてもいつでも撮れる。直前になって明日は休テツ日にすることにした。

 9時頃起床、いつも通勤に使っている50ccの原チャリにキスデジだけを搭載して東京に向かって国道一号線を北上した。今年春、修理中の本務機EOS5Dに変わって磐越西線迂回貨物撮影用のためだけに購入したキスデジだが、その後、仕事の業務用撮影や宴会撮影に大活躍しており、さらには5Dのサブ機として線路端のお供としても愛用していたのだが、いつしかキスデジ用に望遠ズームが欲しくなっていた。チャチなやつでいい。ちょうど各種キスデジ用に55−250mmが発売されているが、現行のUタイプはヨドバシでも¥35000以上もしてしまう。それでも充分安いのだが所詮No2のためにそこまでの出費は考え物だったので、型落ちの同スペックのTをネットで探していると、秋葉原に¥17500で販売している店があった。今日はそこを目指すのだ。それにしてもなぜ原チャかというと、気分で。サブカメラのレンズをサブバイクで買い物に出かける、という素朴な「清貧さ」が自分の中ではヒットしてしまっただけだ。

 50ccの原付は取り締まり対策のため黄色ナンバー申請しているものの中身は50ccだ。速い流れの一国のペースについていこうとスロットルは常時全開。トップスピードの60km/hを出す度にエンジンは悲鳴を上げ、リミッターをビシビシ効かせながら多摩川を渡り都内に入った。そういえば大昔、代々木にある予備校に通うため週2回ほど、こうして多摩川を原付で渡ったっけ・・。あぁ、またまた昔、鶴見の工場で夜勤のバイトしていた時もこの道を走って通ったなぁ・・・。250ccのバイクを手に入れてからは第三京浜か首都高で都内に行くようになったため、十○年ぶりにイチコクを走っていると懐かしくなってしまった。流れは快調であっという間に五反田に着いた。国道一号線にはここで別れを告げ、品川へ抜け、今度は国道15号線、そして銀座手前で昭和通りに入る。やがて頭上高く直交する総武本線のガーターが見えると目的地、秋葉原だ。自宅から1時間半ほどで到着した。まずは駐輪場所を探すが週末の繁華街、殊に秋葉原なんかで路駐した日には秒殺で緑の帽子のおぢさんたちの格好の餌食になるだろうから、有料二輪駐車場を探す。テレビでおなじみの「世界のアキバ」の光景の中を横浜ナンバーの原付でトコトコ走り、しばらくするとコインパーキングに併設された駐輪場を発見するが、収容力10台ほどのスペースはすでに満車。次を探すが、2輪用なんてどこにも見当たらない。30分ほど探しまわったが駐輪場は見つけられず、結局目的地のとある量販店の真向かいの歩道に路駐してやった。近年、2輪に対するいい意味での社会変化で少し期待していたが、バイクこそ都心では最速、最強の移動手段なのにまだまだ施設のほうが追いついていないこの現状。我が古里横浜中心部は2輪用施設はさらに遅れていると言わざるを得ない。なんとかしてくれこの現状・・・。さてさて、路駐もしていることだしすぐに目的のレンズを買いつけよう。薄暗い店内に入ると殺風景な陳列棚。中古のパソコン用のモニタがホコリを被って展示されているだけ。本当にここだろうか?カウンターのオヤジに声をかけた。するとすぐに奥から無地の白い箱を持ってきて説明しだした。「保証書はありますよ。ホラ、本物ですよ。日付は入れないでおいておきますから、必要な時にお客様の方で記入してサービスセンターに持っていってくださいね。あ、あと箱は無地ですけど中身は全く本物ですから。ね?ね?」とニヤニヤしながら話すオヤジ。 「・・・ていうか怪しくね?」と心の中で思い、念のため袋からレンズを取り出しひっくり返したりシリアルナンバーの刻印を見たり、保証書の印字状態も確認したがどうも本物っぽい。ま、破格の値段なので動けばニセモノでもいいから購入することにして¥17500を支払った。しわくちゃのコンビニのような袋に入れられ店を出る。バイクもまだ無事なようなので少し街をぶらついてみることにした。10年以上前に電子パーツを買いに秋葉原には来たことはあったが、休日もあってかあの時より俄然活気がある。すると、普段の生活では全く関わりの無いディープな世界がそこにあった。あぁー!!本物のメイドだ。オォー!まるで芸術作品のような痛車。テツヲタは散々イヤっていうくらい見てきたけど、そんなもの生やさしいくらいの見ただけでソレと分かるまんまのリアルなヲタが徒党を組んで闊歩している!! そんな田舎者のようなカルチャーショックを楽しみながらマルチメディアの総本山、ヨドバシカメラへGO。先程購入したレンズのフィルターとフードを調達するためだ。ごった返す店内で目当ての物を調達してすぐに秋葉原の街を後にした。千葉方面へと続く国道14号線を東進。荒川を渡った頃環七から湾岸道路へ。船橋のららぽーとの渋滞も小柄な原付のため難無くすり抜け、千葉市中心部へと入ってきた頃には、すでに太陽は夕方の紅い光を放ち始めていた。なぜ千葉方面かと言うと、今日買ったばかりのレンズを早速テスト撮影に使うつもりで、選んだのは首都圏に最も近い国鉄王国、久留里線である。別に国鉄色の運用も時刻表も地図も持って来ていなかったので、適当な直線区間で買ったばかりの新レンズを試し撮りしてみる。ただそれだけのことだ。木更津市内から内陸に逸れて久留里線沿線を走る。西に傾いた太陽でも当たりそうな開けてる場所を探し、適当に見つけた踏切で開封してみることにした。携帯で列車時刻を確認すると、あと20分ちょっとで木更津行きの上りがやって来るようだ。




見るからに怪しい箱。無印良品かっつうの。



これは必需品。ヨドバシでフードとUVフィルターは買っておいた。純正ケースは高かったので汎用品で我慢しよう。


 ホコリが入らないように慎重にフィルターをはめ込みフードも装着。いよいよカメラに取り付けてみる。まず驚いたのは非常に軽い。まるでおもちゃのようだ。ズームを繰り出し外観眺めてみるが上級機に白レンズを付けたセットを、そのまんま小さくしたような感じでなかなか様になっている。早速250mm、つまり35mm換算で400mmの風景をのぞいてみるが、その軽さ故、イメージスタビライザを作動させてもファインダーの景色のブレはなかなか止まらない。これからこの先こいつをどう使ってやろうか。そんなことばかりを考えながら一枚シャッターを切ってみた。するとプレビューを見て、「!!」 そこには「カードがありません」という文字だった。しまった。初めてデジカメというものを手にした時から、いつかやるだろうと思って恐れていたことをついにやってしまった。SDカードを忘れて来てしまったのである。しかし今日が本番ではなくて本当に良かった。諦めて帰ろうかとも思ったが、せっかくのデビュー戦、どうにかSDを調達してすぐにこの可愛いレンズを試してみたい。そう思うとすぐに機材を撤収して国道を走りだした。SDカードくらいなら最近のコンビニでも置いてあるかもしれない。いや、この先横田駅の近くにコメリがあったはず。ホームセンターならジャンクメーカーの物が安く売っているかもしれない。果たしてコメリに着き閑散とした店内を探すと2GBのアダプター付きのマイクロSDが¥780で売られていたので即購入。そしてすぐに横田駅を遠望できる踏切へと急いだ。ちょうど狙っていた列車はこの横田駅で交換するので、上下両方の列車を確認してこの後の行動を決めよう。やがてやってきた上下の列車は共に派手な久留里色。これなら今日は本気を出さなくてもよさそうだ。少し安堵して先程の踏切へと戻ってきた。





この値段でまぁまぁの写りはするではないか。キハ38の後追い。
2011.10/10  久留里線  東清川〜上総清川  EOSkissX3 55-250mm




と思ったらそうでもなかった。こちらは原寸大の拡大。

 レンズとカメラ本体の価格からすれば充分にこれから先、楽しめそうだ。コストパフォーマンスに見合った良い買い物をした。とやや満足。今度は今行った下り列車が横田で交換してすぐこちらにやって来るので、それを撮って撤収しよう。太陽も日没したのかしていないのか、背後の低い丘陵に阻まれて定かではないが、感度はISO1600、絞りは解放。まさにレンズとカメラの性能の真価が問われる、テスト撮影に最適なシチュエーションだった。




次は37が先頭。敢えてホワイトバランスはオート。ISO1600、絞り解放、1/320秒。
2011.10/10  久留里線  東清川〜上総清川  EOSkissX3 55-250mm


 列車を見送るとすぐに木更津市内に向けて走り出した。気温はぐっと下がりついつい家路を急いでしまう。いつもならばアクアラインを通って1時間ほどで帰れるのだが、本日は原付の遠征なので陸路で帰らなければならない。遅い原付で東京湾岸の北側をぐるっと回って帰るという選択は当然無く、かつて房総で国鉄色の183や113が走っていた頃よく使ったルートである東京湾フェリーに乗って神奈川県まで渡るつもりだが、確かフェリーの最終便は19時前に終了してしまうことは覚えており、さらに記憶では二輪車は車より先の乗船でないといけない事も知っていたので、本気で金谷港まで急がなければならない。乗り遅れたら東京湾岸一周の旅が待っている。完全に日没した国道127号を原付ではかなりのハイペースで南下し、金谷港に到着したのは18時を少し回った頃だった。到着してから気付いたのだが、本日は休日。休日は行楽客のため最終便が19時過ぎまで運行されており、結果そんなに慌てなくてもよかったようだ。もう一発、横田駅でバルブくらいは出来たかも知れない。とはいえ休日の港には乗船を待つ沢山のクルマと人が待機しており、一瞬二輪も含めて積み残しか?とも思ったくらいだが、バイクの渡航予定は予想外に少なく、自分は3番目だった。







 窓口で原付航送の¥1260のチケットを買うとすぐに係員の指示があり、車両甲板へ。いつものように最上デッキの前展席を一旦陣取り、デッキに出て潮風に当たりながら今日の有意義な一日を振り返って一服した。