大糸線 冬練 その1

2010.1/13

 

 ついに国鉄色最後の牙城、大糸北線からキハ52の撤退が発表された。もともと在籍した3両が国鉄色に生まれ変わってすでに5年。何度も足を運んだことはあったが大糸線の真冬の撮影は経験なかったので、最後になってしまったが出かけてみることにした。

 いつもよりちょっと早く21時ころ出発。走り出してすぐ中央高速のインターに向かう道すがら、突如として急激な睡魔に襲われた。少し前途多難な道中を想像したが、八王子から高速にのり諏訪を過ぎ、路面が積雪に変わると今年初めての雪中走行だったので、眠気は一気に覚め興奮してしまい絶好調の車内カラオケもグランドフィナーレを迎える深夜2時過ぎ、北小谷駅前に到着した。

 翌朝、一番列車である422Dを撮影しようと少し戻り、中土〜南小谷の有名なスノーシェッドのS字カーブにやって来た。雪は依然激しく降ったままで、雪を蹴散らす逞しいキハ52の撮影が今日一日楽しめるかもしれない。しかしまぁ暗い。一番列車通過まであと10分だというのにこの暗さでは走行中の列車を止められないほど、ほとんど夜のようだった。



心配になってきた・・・。本当に列車は来るんだろうか・・・。


 やがて通過時間。なんとなく予測していたが、この悪天候では列車は遅れているようだ。15分以上の遅延の場合に掲出される携帯サイトの運行情報を見ると、そこには大糸線の遅延については書かれていない。とすると15分以内に列車はやって来るのだろう。・・・しっかし、この降り積もる雪の中での待機は正直辛い。10分ほど待っていると県外ナンバーの車が近づいてきて、運転していた女性が窓を少し開けて「列車、動いてますか?」と尋ねてきた。撮影に来たのだろうか。「やーまだ来ていないっすよ」とオレ。さらにしばらく待っていたがついに限界。やむ無く撤収した。国道に戻りおなじみの中土のローソンで朝飯を買い、撮影場所を探しながら北へ車を走らせる。平岩や小滝など駅をいくつか回っているうちに根知に到着。今まで撮ったことのない根知駅北方にある根小屋トンネル上のポータルで撮影してみることにした。一番列車はすれ違ったのか、それとも運休したのか今だ不明。遅れてても朝イチの南小谷往復が行っていれば間もなくやって来る糸魚川からの一般色とここで交換することになる。国道の駐車スペースに車を止め踏み跡のない獣道を登りトンネル上に到着。いつしか雪は止んでいた。ここからは根知駅が遠望でき、構内の様子が手に取るように分かる。一番列車が通ったかどうかは線路の積雪を見れば分かりそうなものだが、朝から降り続いた激しい雪にレールは完全に埋もれているので定かではない。しばらくすると鉄橋を渡ってすぐに踏切が鳴り出した。糸魚川からの426Dがやって来たらしい。ビデオをスタートしスタンバイ。足元の地響きが大きくなりキハ52115一般色が足元のトンネルから飛び出してきた。



426D。定時に来てくれて一安心。
2010,1/13   大糸線   根知   EOS5D  100-400mm


 肉眼では見えないが駅に停車すると何人かのテツが降りて撮影大会が始まっているのが見える。やがて南小谷からオレが取り逃したタラコがやって来るだろう。しかし5分、10分経っても対行列車はやって来ない。出発信号は赤の現示のままで対行の423Dタラコも姿を現さず426Dは出発できずにいる。本当にタラコは南小谷に行ったんだろうか?車に戻りすぐに駅に行けば確かな情報は得られるのだろうが、その間に423Dが来てしまっては最悪だ。携帯で見る運行情報も大糸線については触れられていない。対行が遅れているのか、それとも始発はウヤで目の前の426Dはただ悪天候で発車できないのか全く分からなくなってきた。やがて根知で一般色が抑止を喰らってから30分ほど経ったころ、ついに大糸線の運行情報が更新された。「大糸線、強風のため運休。再開の目途は立っていません」 だと。こんな辺鄙なところにある根知まで来てしまった426Dはこの先の区間での強風でただ動けなくなっているようだった。ここ根知でこのまま滞泊なんてしないだろうし遠からず糸魚川に引き上げるに違いない。しばらく待ってみることにした。ただ限度を決めないと無駄に時間を浪費してしまうので、あと1時間待ってみることにしよう。・・・・。雪は止んだが時折強風が吹き付け風上を背にしてひたすら耐える長い時間が始まった。寒い・・・。じっとしていることさらに40分。体力もに限界を感じた時、ついに止まっていたキハ52115のヘッドライトが点灯した。どうやらここで南小谷を諦めて、ここ根知で折り返すようだ。



1時間40分の停車ののち、糸魚川に向けて引き返す???D。辛抱も限界だったので助かった。
2010,1/13   大糸線   根知   EOS5D  100-400mm


 ついに運転を再開した大糸線であったが、このまま午後も動くのだろうか、やや心配になりながら新たな撮影場所を探すべく糸魚川に向かった。って言っても途中駅まで行った列車を引き返すぐらいだからこの後の運転もかなり怪しく思える。糸魚川に向かう道中、以下の写真のバスを見た瞬間、本日の撤退を決めた。こればっかりはしょうがない。いつも糸魚川を訪れる時に立ち寄るラーメン屋で腹を満たしたあと、小雪の降る中、糸魚川近辺をふらつきながら時間をつぶすことになった。



やっぱりな・・・。


 このあとすぐに終日運休が決定してしまい、やることもなくなり例のMAXバリューの駐車場で半日過ごした。諦めて帰ればいいものを、2連休だったのでこの雪ならもしかしたら・・・もしかしたらラッセル!?なんて期待してしまい、もう一日張っていることにした。夜は大野のセブンイレブンの駐車場でマルヨ。しかしあまりの降雪の激しさに30分ほどで車が半分埋まってしまい、店員にスコップを拝借してようやく脱出。脱出したはいいものの、車を止めると途端に降り積もられるので落ち着いて仮眠できる場所を探して糸魚川周辺をうろつく。こうなることが分かってりゃ昼間スコップでも買っておいたのに後の祭り。2時間ほど市街をうろうろ彷徨いながら、除雪済みの海岸沿いの道の駅でわずかだが休憩することにした。空もだいぶ白んできた。この降りかたなら信越本線でラッセルくらいは出るだろうと直江津に行ってみたが鉄道、道路ともに交通はマヒ状態。帰るにも上信越道は雪害のため通行止めなので、至る所で大型車が立ち往生し大渋滞の国道18号線を南下しながら長野を目指し、上信越道で生還した。こんな酷い遠征初めてだった。降りゃーいいってもんじゃないね。大惨敗した本年最初の遠征ドライブでした。