【下見】 上越新幹線で200系国鉄色を狙う

2009,11/12

 関越道で東京を脱出するころ、一日中降っていた雨がようやく止んだ。星空は見えないが分厚い雲が覆っているのがよく分かる。群馬県に入り駒寄PAで4時間ほど仮眠。早朝6時に目覚め次の渋川伊香保ICで降りた。目指すは吾妻線と上越新幹線の交差区間。本日の目当ては吾妻線、ではなく上越新幹線だ。もちろん狙う獲物は200系国鉄色。東北・上越新幹線開業時のホワイト+グリーンの塗色で、現在1本の200系のみがこの伝統的な装いを纏う。とはいっても200系は全編成リニューアル工事が終わっており、若干先頭形状がシャープに生まれ変わっているが、遠目から見れば登場時の面影をまだまだ残しており、HPタイトルに国鉄色と掲げている以上コレを頂いてしまおうっていう計画だ。

 計画だ。とはいってもこの国鉄色200系、ことK47編成。残る全ての200系計11編成のうちの1本なわけで、当然共通の運用が組まれており、いつどこで遭遇するかは分からないのだ。最近ヒマな時間を利用してはこのK47編成の見たまま情報を逐一ネットで検索してみたが、なぜかMAXや終焉間近な山形新幹線つばさ「400系」の運用はあるものの、この200系の運用情報だけはどうしても見つからなかった。好きな人がいてもよかろうに・・と思いながらさらに情報をかき集めると、どうやら共通運用である東北新幹線よりは上越新幹線に出没する機会が多いらしく、実際自分も今年6月の富山遠征の帰りにはくたかから乗り継いだ「とき」がこのK47編成であった。
 とまぁ200系で来る列車は時刻表を見れば一目瞭然のなので、朝イチの列車から張り込みをしてみよう。ダメだったら次の機会でいい。今日は曇りだしロケハンも兼ねてうろつこうと思っていた。

 6:40、吾妻川橋梁到着。想像していたよりスケールの大きな橋脚だ。間もなくここを200系が下り1番列車である「とき301号」としてやって来る。この列車次の上毛高原は通過である上、ここのポイントが高崎と越後湯沢の中間なので通過時間がなかなか読めない。相手は新幹線なので気配を感じてからスタンバイするのも遅いと思う。そこで高崎〜湯沢の平均時速を割り出し、高崎からの距離を時速で割り通過時間を算出するというアナログな方法でタイミングを掴む。やがて予想通過時間から+2分。ライトに照らされた2条のレールの上を白くて丸い車体がトンネルから飛び出してきた。リニューアルか?国鉄色か?




「とき301号」はリニューアル色だった。
2009,11/12   上越新幹線  高崎〜上毛高原  EOS5D  100-400mm

 しかし暗い。とっくに日は昇っている時間だというのに靄は晴れる様子はなく、少し早い紅葉の色づきもこの曇天では全く冴えない。しょうがない。今日は現地調査の日に充てよう。もし国鉄色200系が来ても、折り返しをどこかの駅で駅撮りするくらいでいいだろう。そう思うと急にどうでも良くなってきて、終いには道路わきに三脚をセットし、カメラのレリーズだけ車の中に引き通し、車内からシャッターボタンを切るというなんとも軟弱な横着テツに走ってしまった。大体の列車の通過時間は分かったし、200系の来ない間はワンセグでテレビを見たり、昼寝をしながら時間を潰していた。

 その後、1本、2本、3本と上り下り全ての200系で運転される列車を見送ったが、K47はやって来ない。張り込み開始から約5時間。もう朝イチで見送った列車が戻ってきているはずだ。ということで結論が出た。

「今日はK47は東北新幹線か、検査」、ということだろう。

 さて移動開始。もうK47は来ないということが分かったので、新たな撮影地開発でも始めようか。悪天候の日、外した日はロケハンに限る!別に今日撮らなくてもこういう情報は後々役に立つことは大いに有り得る。とは言ったものの上越新幹線はほとんど群馬県内はトンネルなので撮影地場所はかなり限られるのだが、とりあえずは次の明かり区間である上毛高原駅周辺を探索してみよう。国道に戻り高原のアップダウンがキツい国道145号で沼田に出る。先程の吾妻川橋梁を渡ってすぐに突入する中山トンネルの北側坑口に行ってみることにした。緩い弧を描く線路を周辺の道路脇から見下ろせるのだが、さすが新幹線の軌道だけあって周辺には背丈以上の防音壁が張り巡らされていて、望遠レンズを覗かせる隙の余地が全くといっていいほどない。ふと時間を見ると、もうすぐ東京行きの上り200系が上毛高原を出る時間だ。依然空は晴れず露出は暗いままだし国鉄色ではないのでガチで勝負に行くつもりは無いが、次回に活かすべくいい構図はないものかと線路周辺を右往左往。錆だらけのガードレールがあったのでそれを脚立代わりによじ登り400mmを繰り出す。むむっ、遠い。三脚は無理な位置なので手持ちでも400mmに×2のテレコンが欲しいところ。すぐ脇の有刺鉄線にビビリながら駅方向にシュートした。




400mmでかろうじて狙うことが出来る中山トンネル北側坑口。駅出発直後なのでスピードものろい。
2009,11/12   上越新幹線  高崎〜上毛高原  EOS5D  100-400mm


ウソです。

この写真をトリミングした。コレが400mmの元の画像。デジタルパワーで上記の結果。


 日は完全に顔も出さぬまま、時間は正午を回りこれからさらに走行写真は厳しくなるだろう。今日はもう完全に捨てて夕方まで遊んでみようと、上越新幹線の有名撮影ポイントでもある上毛高原上り出発方に行ってみることとした。月夜野の町並みを抜けて勾配を登ると、突如として開けた高地に巨大な新幹線の駅が現れる。初めて訪れたがいささか周囲の情景と駅の規模がマッチせず、面白い組み合わせだ。早速駅裏手のお立ち台へ。手前に保線用か除雪用車両の基地があり、やや画面内がうるさくなるが、それを上手く入れないように広角で引きアングルを定め、「とき412号」を待つ。露出は正午を過ぎると時間が経つごとにさらに厳しくなってきて、ISO800に感度を上げて列車を待つ。しばらくして駅の放送がここまで聞こえ、ヘッドライトが見えて来た。




晴れれば午後順光になるこのアングル。色づき始めた紅葉がキレイだったことだろう。
2009,11/12   上越新幹線  上毛高原  EOS5D  24-105mm


 さて・・・・今日はK47も来ないことが分かったし、帰るとしよう。しかし新幹線は終わりだが、もう一つ撮りたいものはあった。午後に上越線を下る2071レ貨物だ。貨物時刻表を持ってきていないので、去る7月、同じ列車を渋敷カーブで撮った時の画像がEOSのCFカード内に残っていたので時間を確認すると15:27とある。この天候と、この季節ではまともに走行を捉えられるほど光量はないだろう。あと2時間ほどあるので一般国道を南下し、渋川市内で飯を食ったりしながら時間を潰し、八木原の線路に張り付いた。ISO1600、絞り開放、シャッター1/160秒。15時だというのにこの暗さだった。キビシー!!



2071レ。EF64重連で原色が就く率が非常に高い。これもデジタルパワーで増感。
2009,11/12   上越線  渋川〜八木原  EOS5D  100-400mm




2009,11/17

 後日いろいろ検索していたら、ついに東北・上越新幹線の運用のサイトを発見した。全部で9運用。200系は全部で11編成なので2本は予備として運用に就かないことになる。さらに見たまま情報も更新が少ないものの発見できた。これで行き当たりバッタリの雲を掴むような話から、あらかた30%くらいの的中率でK47の予測がつきそうだ。それによるとK47編成は前日上越新幹線「とき305号」に入っていることが分かった。これを運用順で追うと、休みである17日は上越新幹線東京発一番列車である「とき301号」で運用を開始した後、新潟、越後湯沢を各一往復して高崎でマルヨするということが分かった。天気予報は正午過ぎから雨の模様。午前中に1、2本降らないうちに撮って撤収しようと、また深夜の関越を北上するのであった。今夜もまた駒寄PAで仮眠。ただ一昨日の夜勤明けで一日中寝ていたのでなかなか眠りに就くことができず、とうとう一睡もせぬまま夜が明けてきた。前回初訪問した吾妻川橋梁に到着。前回にも増して空模様は悪く、レンズをつけてファインダーを覗いてみると、新幹線を止められるか否かギリギリのISO1600でシャッター速度1/250秒という有様だった。通過時間まで15分ほどあるが、少しでも太陽が標高を稼いで、1段でもシャッタースピードを上げられるよう祈るような気持ちで天を仰いだ。しかし明るさは変わらぬままトンネルから200系が飛び出してきた。止まってくれ・・・。そう願っているとファインダーに飛び込んできたのはグリーンの帯ではなく、リニューアル編成だった。やってもうた・・・。読みが甘かったのか、はたまた運用表が正しくないのか。前日上野第一に引き上げているので編成の差し替えも考えられる。すぐに帰るのもなんなんだとも思い、2時間ほど張ってみることにした。30分後。2本目。キタッ! グリーンの帯を纏ったK47が「たにがわ401号」としてやって来た。ようやく逢えた。



ようやく逢えた200系K47編成。中山トンネル内の160km/h制限のため、心なしか新幹線としては遅めのスピードに見える。
2009,11/17   上越新幹線  高崎〜上毛高原  EOS5D  100-400mm


  越後湯沢までの「たにがわ」なので1時間半もすればここへ折り返してやってくる。雨もポツポツ降り出してしまい、先日下見しておいた上毛高原に移動。ついに本降りとなった雨の中で傘を差して列車を待つ。今日も下見と、運用表通りに流れているかの確認だけであるので、クソ写真になることは分かっているので苦にはならない。傘を差しながらのやり辛いセッティングを終えると、折り返してきたグリーンの200系が駅を出発するところだった。



激晴れの中、紅葉と絡めてコイツを仕留めたい! と心底思った。
2009,11/17   上越新幹線  上毛高原  EOS5D  24-105mm