未明の583団臨

2014.12/20

 何ヶ月ぶりかに土曜を休みにしてみた。「何か良いことあるんじゃないの?」くらいに考えて無計画で休みを作ったものはいいけれど、香ばしい臨時列車はこの日の設定は特に無かった。そう言えば今週中ごろ、近年稀に見るほどのドデカイ爆弾低気圧か日本列島を総ナメにし、山陰地方から北海道まで各地に大きな雪害をもたらした。おかげで今シーズン最後となる485系統は運休などでガッタガタ。せっかくの土曜休みであるが排雪の動きも探りを入れてみた。実際に先週末の寒波で土日に信越線、大糸線、城端線、氷見線などにラッセルが動員されている。しかしながら降雪があったのは木曜のこと。今日の日本海側の天候は曇りとのことだったので明日は雪レはないはず。こうなれば団臨しかないと思い、まだ買っていなかったダイヤ情報を、勤務が終わった金曜の夕方、帰り道の本屋で仕入れ、その本屋の駐車場で調べてみる。すると583が明日早朝首都圏にやってくるらしい。いつものワクワクなんとか、ではなくて東大宮操までの行路だ。金曜の夕方秋田を出区して弘前まで回送。そこで客扱いをしてマルヨで首都圏を目指す。水上に3:48着。1時間32分の運転停車の後、渋川でも56分停車。夜が明けたころ渋川を出発し、途中また神保原でも30分も時間つぶししてゆっくり南下してくるというもの。ここまで確認してすぐに脳内に、暗闇の中、雪に反射した室内灯を光源に突き進む583の流し撮りの映像が浮かんできた。場所は水上を出てすぐの諏訪峡! 水上の停車時間を利用して駅進入をビデオで、停車中をバルブで・・・と即座に思いついた。そして諏訪峡から高速で追っかけをして渋川出発まで抑えられそうだ。今からでも十分間に合う。すぐに帰宅して充電しておいたバッテリーをカメラに装填して関越を北上した。暗黒流しとは言えどもやはり高感度は必要なところ。なのでISO3200までイケてしまうEOSkissも今回同伴した。

 水上ICの手前、下牧PAに到着したのは午前1時。2時間程度仮眠した後、水上駅に到着。気温はマイナス5℃。駅進入を望めそうな高崎方の構内カブリ付き場所にやってくるとすでに1組の先客がいらっしゃった。こんな寒い中屋外で待機とは・・・。自分は到着直前まで車内で暖を取りながら、表に出てセッティングを開始した。やがて到着時刻。しかし5分、10分経ってもあの青い車体は姿を見せて来なかった。




側線の115のパンタを凍結防止用のヒーターが一晩中暖めている。
2014.12/20   上越線   水上   EOS5D  100-400mm

 まさかのウヤ・・・?確かに一昨日までの北日本の悪天候の影響で「行楽」臨時列車の運転が無くてもおかしくはない。頑張っていた先客氏もこの寒さに負けて車内退避している。どうしたことか、このままここで待ち続けても眠さで限界であったので、水上駅を過ぎ、北側の踏切で待つことにした。ビデオだけなので警報機の音で飛び出せば到着までウトウトしていられる。そしてどれくらい経ったのであろうか。完全に眠りに落ちてしまい、夢まで見始めていると突然踏切が鳴った。暗闇の向こうからゆっくり現れた青い巨体。約40分の遅れだった。このまま構内でバルブ撮影の予定だったが、すぐに追っかけ駅前をそのままスルー。5:02発の先行の普通電車があるので、諏訪峡でテスト撮影するためだ。凍結防止剤の撒かれていない凍った渓谷沿いの道を走る。今日に限って月明かりは全くなく、街明かりも遠く届かないところなので完全に暗黒の中。どこが線路で架線柱か、手前に障害物があるのか無いのかも分からず、どこでスタンバイすれば分からない状況だった。これは完全に誤算。クルマのヘッドライトをハイビームにしたりしたが肝心の線路までは届かず、とにかく暗闇に目が慣れるのを待った。しばらくして普通電車出発の時刻。後からやって来た方が照らしてくれる懐中電灯を頼りにピントは大体、シャッタースピードは限界であろう1/20秒に設定した。




720Mでテスト撮影。
2014.12/20   上越線   水上〜上牧   EOSkissX3  55-250mm

 レンズの選択をミスってた。標準ズームに付け替えて本番を待つ。本当に真っ暗なのでビデオも広角目にして大まかにセット。カメラは列車の頭が登場してヘッドライトが線路を照らす一瞬でフォーカスする作戦にした。








2014.12/20   上越線   水上〜上牧   EOSkissX3  17-55mm

 一応は流しも成功し、甘いながらもピントも合っていたようなのだが、夜行列車の減光を忘れていた。車内からこぼれる室内灯の明かりが雪の斜面に反射して・・・がイメージだったが、これも誤算だった。渋川出発までまだ余裕があるのでしばらく車内で冷えた体を解凍し、水上ICへ。高速に入るといつのように眠気が襲ってきた。まぶたが重力に負けそうになりアスファルトのラインを追うのも難しくなってきた。諦めようか、いや進もう。坂を下りながら葛藤していたがついに赤城高原SAに立ち寄り、眠気覚ましとリフレッシュのため山菜ソバを食い、再び本線上に飛び出た。渋川ICから程近い関越道クロス下でセッティング。到着してすぐに場所取りの三脚設置。通過直前まで水上と同様うたた寝をして時間を過ごし、明るくなってきた通過直前にセッティングしようと三脚に戻ってみると、明るくなった背景が陸橋の工事真っ最中で、その足場がモロに写ってしまうことがわかった。でももう移動している時間はない。強烈な赤城下ろしが吹きつけるなか、渋川を出発した583をシュートした。




2014.12/20   上越線   渋川〜八木原   EOS5D  100-400mm

 またクソみたいな写真を作ってしまった。思わずその場で画像を消去したい衝動に駆られたが、数年後、この記録が意味を持つのであろうから、せめてもの慰みにこの敗北写真館で公開した次第である。この後は寝る場所を求めて国道17号を南下。途中の道の駅で正午過ぎまで昼寝して、ひたすら一般道で大宮の首都高入り口を目指した。途中の激安ガソリンスタンドで給油と洗車。ワックスかけまでした後、走り出してすぐに土砂降りの大雨に遭遇した。こういう日はこんな感じ。ならば食で満たされようと、ふと立ち寄ったラーメン屋で激マズのネギラーメンを食べて帰路についたのだった。