房総地区の新聞輸送
1996.6
房総半島に日本最後の定期荷物運用が残っていると知ったのはRM誌の特集だったと思う。荷物輸送体系の見直しから当時ですでに十余年。そんな20世紀目前に荷物輸送が現役であることは衝撃だった。場所は千葉県房総半島。その荷物は「夕刊」である。なぜ房総半島だけに新聞輸送が残ったのか。それは当時はまだ半島の高速道路は未完状態であり、またアクアラインの開通もあと2年待たなければならなかったため、道路事情は悪く、しかも需要もそれなりに多い房総半島に夕刊を定時で運び届けるのは鉄道が最適だったという。また夏季の幹線道路の渋滞は尋常ではないほどで、自分もその辺は身に染みて房総半島の道路事情の悪さは良く知っていた。
そんな訳でこの時代に房総半島にクモユニ143を連結した荷物混合列車が残っている。
ツーリングも兼ねてこの日本最後の荷物列車を仕留めようと出かけてみた。簡単にこの列車の運用を説明すると、まず幕張所属のクモユニ143×2両は正午ごろ回送として両国に向かう。両国の旧ホームに入線し新聞の積み込みを開始。荷2331Mとして2両で千葉に向かい到着すると分割されて、待ち構えていた外房線普通列車273Mと内房線普通189Mの113系の最後尾にそれぞれ1両づつ連結。途中駅で新聞を降ろしながら2つの列車は終点安房鴨川に到着。折り返しそれぞれ千葉に戻って行くという行程だ。
とある梅雨の中休みの日、当時買ったばかりの125ccのスクーターにカメラを積み、ひたすら下道で千葉を目指した。外房線沿いに南下をし続けながら撮影地を探す。時間も無くなった上に終点の安房鴨川近くまで来てしまったので、かろうじて海バックが狙える国道のオーバークロスで273Mを待った。


113系にぶら下がったクモユニ143。もうすぐ終点の安房鴨川。
1996.6 外房線 安房天津〜安房小湊 EOS55 28-105mm
鴨川で両方向から来たクモユニ143は顔を合わせているはずだが、折り返しの内房線経由を撮るため太海の鉄橋へ。今度はクモユニ先頭で来るはずだ。


2148M。今度はクモユニが堂々旅客列車の先頭に立つ。まさに往年の荷物混合列車だ。
1996.6 内房線 江見〜太海 EOS55 28-105mm
この2148Mは鴨川からぐるっと房総半島を左回りに半周する。もし半島内陸をショートカットすれば追っかけができるんじゃないか?と思い国道128号を少し急いだ。館山市内の夕方の渋滞に焦りながら市街をパス。抜けると国道のバイパスが線路をまたいでいたのですぐに準備に取り掛かると、通過まであと5分ほどだった。

1996.6 内房線 那古船形〜富浦 EOS55 28-105mm
このクモユニ143を使用した新聞輸送は、この年の年末まで続いた。その後は113系の普通旅客電車の1両を荷物室扱いとして、同じく両国〜千葉から外房内房線に分かれて新聞を輸送する形態はしばらく変わらなく継続されていたが、房総半島の高速道路、首都圏からのアクセス向上により、ついに2010年3月、トラック輸送に切り替えられて房総半島の鉄道による新聞輸送は幕を閉じた。
