中央西線に残る最後のロクヨン重連貨物を追う

 こんな書き出し以前にも数度あったが、今年も仕事で年に一回の重大な抜き打ち監査が昨日無事終了した。シフト上では明日から2連休だったが、監査のため出社予定だったものの、それも終了したので久しぶりの本当の2連休がゲットできることとなった。そういやもう半年以上テツ活動していないので、連休前日の出勤前、何かいいネタは無いかと調べてみることにした。思えば明後日は春のダイヤ改正。毎年この時期になると廃止される列車、駅などが話題になるものの、ここんところ全くその情報にすら触れていない身としてはイチからの情報収集だ。一応、北:キハ40 特急「大雪」 東:E217 E501 南小谷行き「あずさ」 中央線系統のホームライナー的特急 海:211系 西:201系 四:うずしおキハ185 牟岐線特急 ・・・・が今季の大きな変化のようだ。北海道のタラコはあまりにも遠すぎるし、四国のキハ185は徳島本線では残存するらしい。旅客はパスということで貨物はどうだ、ということで久しぶりに某貨物系サイトを開いてみると、新鶴見のEF65や愛知のEF64は、いつしか全て国鉄色に塗色変更がされているようだが、運用数は激減されている。6年ほど前に訪問した中央西線はどうじゃろか、と6年ぶりに愛知64の運用を覗くと、まだ2往復64の運用が残っているようで、そのうち1往復は重連ではないか! しかも今回のダイヤ改正でその重連運用がEHに置き換えられるとのことって。おいおいっ! 知らなかった。あと残り2日じゃねーか。もうこれで決まり。撮影できる日中の運用は重連の臨8084レと単機の81レ。しかも両列車は中津川以南ですれ違うので、それぞれを中央西線の山深い区間でねっとり撮影できてしまう上に、木曽地方の天気は両日晴れの模様。今から出勤まで時間がないが、様々な資料を集めたり機材の準備をして今夜の出発に備えることにした。

2025.3/12

 22時に業務が終わり爆速帰宅。明日の一発目の臨8084レの撮影は正午過ぎになるので朝イチで高速で乗り込んでも充分間に合うのだが、久々の遠征なので一般道のナイトランを楽しみたい。シャワーを浴び必要物資をクルマに積み込み23:20、棲家を出発した。甲府の市街地をパスすためだけに相模湖ICから高速に乗り、甲府昭和ICで国道20号に再び降りてきた。あとはクルマ通りもほとんど無い快適な甲州街道を諏訪湖方面へ。今夜の目的地である塩尻には2時半ころ到着。あまり腹は減っていなかったが深夜のドライブといえばやっぱりラーメン。ということで塩尻をそのまま通過し、松本市内の過去にもお世話になったことのある山岡屋へ。深夜に背徳感のあるネギ醤油ラーメンを食し、塩尻に戻る。今夜は国道19号沿いにあるどこかの道の駅で車中泊のつもりでいたが、市街外れにあるドライブイン併設のローソンの超広大駐車場で一夜を明かすことにした。自分のもそうだが最近のハイブリッド車は暖房を入れると、その熱源確保のため、あり得ないくらい高回転でのアイドリングが入切を繰り返すので、環境のため?ではなくガソリン代節約のため寝袋を持参してきた。歯磨きをしておやすみなさい。

2025.3/13

 アラームもかけず9時ころ自然起床。といってもほとんど眠りに就くことができなかった。気温は1℃まで下がっていたらしいが、寒さではなく久々の車中泊に慣れなかっただけだ。天気予報では現在快晴とのことだが、盆地に位置するここ塩尻では濃霧であるが、一発目の撮影地は盆地を超えた先にあるので心配はいらない。一晩泊めてくれたローソンでおにぎりを購入。目的地に向けて出発した。やはり情報では重連廃止間近ということもあり、どこもかなりの人手になっているらしい。目的地には1時間前の到着を目指しているが果たしてどうだろう。国道19号を南下していると倉本〜須原のお立ち台が見えてきた。近づくと大量の三脚が林立している。うわぁ〜・・やっぱそうなるよね・・と弱気になりながらもさらに歩を進め、少し先の伊奈川橋梁に到着した。恐る恐る近づいてみるとすでに5名ほどの方がスタンバイしていたが、パニる様子は全く無かった。土手に上り挨拶して仲間に入れてもらう。本来は旧橋台跡地の広いお立ち台だったが、いつしか大部分を虎ロープの規制線が撮影場所を限定するようになっており、キャパが相当狭くなっていた。あの規制線の向こうからなら橋梁全体をカバーできるのに、こればっかりはしょうがない。全員ロープを越えないように足場と構図に工夫を重ねて平和にスタンバイしておられた。自分と同様、最近の貨物界隈にあまり詳しくない隣りの方と世間話をしているうち、国道を10台以上のクルマが猛スピードでこちらにやって来るのが見えた。臨8084レは一つ手前の須原で特急の退避のため、数分停車するのだが、まさかのその時間を利用しての追っ掛け組だった。隣りの方と呆気に取られていると、続々と集団は土手に登って来て、一部の者はロープを越えて禁止エリアで三脚を広げ始めた。すぐ後ろの規制線外で準備していたヤツを睨みつけると、一瞬たじろいで場所を変えようとした素振りを見せたが、次々と禁止エリア内に侵入する多勢になす術はなく、一気に無法地帯と化したのだった。




ついに置き換えが発表された383系「しなの」。いつも練習電だったので、初めてちゃんと撮っておく。
2025.3/13  中央本線  須原〜大桑   EOS6D 24-105mm




臨8084レ。本務機が更新色だったら・・と心配しなくてもいい時代になったのに、あと2日の運命。

2025.3/13  中央本線  須原〜大桑   EOS6D 24-105mm

 列車通過後、多くの不法占拠者たちは大急ぎで撤収をはじめ、次々とクルマに乗り込み猛ダッシュしていった。正直者が馬鹿を見る光景を目の当たりにしてモヤモヤしつつ我が陣営も撤収。皆さん、さぞ素晴らしい作品を撮られたのでしょうね。この先8084レはほとんど運転停車しないため、自分もあわよくば、という感じで列車の後を追う。国道19号の流れは非常に良く、383系ほどではないが、本則+15km/hほどで流れているので一般車に混ざって順調に南下していると、1台の県外ナンバーのミニバンがイエローラインを越えて猛スピードで追い抜いて行き、さらにその後も計3台が追い越し禁止の区間でぶち抜いていった。最近の現場ってどこもそうなの? そりゃ世間から撮りテツってだけで叩かれますわ・・・。少しカルチャーショックを受けながら田立付近で追い付けないことが分かり断念。ちょうど道の駅があったので、午後の81レまで時間を潰すことにした。まずは昼飯。そのあと少し昼寝することにする。




道の駅「賤母(しずも)」 油淋鶏定食。油淋鶏ってこういうもんだっけ?と思いながらもボリュームがあって非常に美味かった。

 昼寝から目覚めると少し薄雲が湧いてきた。これから撮影する下り81レは北東に向かうため多くの場所で逆光になりやすく、こちらの方が都合がよい。また8084レと違って10分前後の運転停車が4回ほどあるため無理せず追っかけが可能だ。まずは一発目。この道の駅の木曽川をはさんだ対岸側の田立駅付近に向かう。撮影地に近づくと狭い農道のど真ん中に、無余地駐車のテツ車が通せんぼ中。行き止まりの道ならまだしもどういう神経してんだろうか? 地元一般車のフリしてクラクション鳴らして移動させようかと思ったくらいだ。自分は少し離れた駐車帯に停め、撮影地に向かうと、先ほどのクルマの持ち主らしき人物が、田んぼの畔に堂々と三脚をたててやがる。いい歳こいたおっさんが田んぼは人様の土地であることも分からないらしい。




いつも練習台ありがとう。松本方はパノラマグリーン車。次世代の385系にパノラマの設定は無いらしいので一度乗車経験してみたいですな。

2025.3/13  中央本線  坂下〜田立   EOS6D 24-105mm




高速81レ。単機だが見事なフルコキで迫力十分。この81レは改正後でもEF64が引き続き充当されるとのこと。

2025.3/13  中央本線  坂下〜田立   EOS6D 24-105mm

 さて追っ掛けよう。先ほどのオッサンも追っ掛けのように見えたが、撤収に手間取っているようで自分の方が先発。次の目的地は昼に8084レを撮影した伊奈川橋梁の対岸側。記憶ではキャパは広く駐車スペースも余裕があったと思われ、また現在追跡中の81レは現地まで10分の運転停車が数回あるため、成功の可能性は高い。十二兼駅で運転停車中の81レを横目に抜き現地に到着すると待ち人は15名程度。まだアングルは自由に選べる密集度だったため、一地点に決めセッティングを開始した。この撮影地の雰囲気は大変穏やかで、皆が声を掛け合いながらアングルの調整に精を出していた。その後追っ掛け組もちらほらやって来たが、8084レの時のような殺伐した感は全く無く、全員平和に遠くから現れる青い車体の登場を今かと待ちわびた。




いつもいいタイミング現れる383。「しなの16号」

2025.3/13  中央本線  大桑〜須原   EOS6D 100-400mm




編成長すぎでケツ切れ。

2025.3/13  中央本線  大桑〜須原   EOS6D 100-400mm

 午前中の青空はどこへやら。次の運転停車は隣りの須原で10分ちょっと。今日8084レを追っ掛けていた際に目撃した三脚乱立のお立ち台の反対側に先回りしてみることにした。ここで撮影した多くのテツ車は追っ掛けをするべく続々と発進して行ったので、自分も慌てて後を追ったのだが、目指す撮影地に入るT字路を曲がったのは2台だけで、現場に着くと5名ほどの同業者が待ち構えているだけだった。




建設会社の資材が気になる撮影地。須原で81レを抜かしてきた「しなの17号」が先行通過。
2025.3/13  中央本線  須原〜倉本   EOS6D 100-400mm




16:31 長い編成をくねらせ、山深い木曽路を北長野を目指す81レ。

2025.3/13  中央本線  須原〜倉本   EOS6D 100-400mm

 この先81レは木曽福島で8分停車。先行は少々厳しいかもしれないが、安全の許す限り追っ掛けを敢行する。場所は決めていなかったが、この条件で待ち迎えるならもうあそこしかない、ということで中央西線最高地点の鳥居峠に通過5分前に到着。着いた時には誰もいなかったが、直前にカップルテツ2名も加わり本日最後の撮影となった。




長い長い登攀を終えて最高地点に達する81レ。ロクヨンの頼もしさを感じた一瞬だった。

2025.3/13  中央本線  薮原〜奈良井   EOS6D 24-105mm

 久しぶりに十分に遊んだ一日だった。もう一日あるので明日の8084レまで旅先の長い夜を愉しもうか。と言う訳で今夜は車中泊ではなく、前回の中西64撮影の時にも泊まった塩尻の健康ランドへ。名前は忘れたが1時間以上、様々な風呂を満喫し、のぼせきった状態で昨日の朝から剃ってないないヒゲを処理しようと、洗面台にあった使い捨てのヒゲ剃りで一刀目を入れると・・・・・ザクーーー・・・。2枚刃のようだが安物が故、見事なまでのカミソリ負けをしてしまった。慌ててティッシュで押さえるも全く止血できない。数十分真っ裸で患部と格闘していると、出血は少し収まってくれたものの、ティッシュは当分手放せないようだ。諦めてティッシュをあごに押さえながら着替えを済ませ浴場を出ると、様子を見ていたのか清掃のおばちゃんが「これ使いな」、と3枚の絆創膏を渡してくれた。本当にありがとうおばちゃん。ようやく落ち着いた所で間もなく食堂が閉鎖するとのことだったので出向いてみるも、昨日からの暴食によりあまり食を欲していなかったため、ラインナップの中で一番ヘルシーそうだった「とろろ定食」を注文。もう一度風呂に入り完全に整ったところで、至高の時間。酒とつまみを片手に明日の撮影プランや、いつになるか分からない次回の撮影旅行の下調べなどをする。館内の自販機はロッカーキーについたICチップをかざして後で清算するシステムだったので、まるで呑み放題かのように次々と購入。結局自分でも何本呑んだか分からないくらいにビールと缶チューハイを摂取し、近年希に見るほど酩酊してしまっており、ついに限界を感じ、何時か覚えていないが仮眠室に潜り込み、アラームもかけずに爆睡した。



2025.3/14

 翌朝、チェックアウトを告げる館内放送に起こされて9:30起床。朝風呂も入るつもりだったが、もう無理な時間になってしまっていた。塩尻市内は雨雲レーダーでは快晴のようだが、実際は昨日と同じ濃霧。準備を済ませ国道19号に向かう。途中のコンビニで軽食を調達し、車内でおにぎりを喰いながらロケハンに向かう。昨日の8084レは伊奈川橋梁の一発に終わってしまったが、今日はせめて2発ゲットしたい。一発目は倉本〜須原の定番お立ち台に決めているのだが、その先の候補を探ることにしよう。昨夜、酩酊しながらのリサーチで候補に挙がった、野尻の雪山バックストレート。追っ掛けに重要な、直前の乱入に耐えうるキャパはあるのか、駐車場所は確保できそうか、などストリートビューだけでは得られない情報を調べておく必要がある。1時間ほど塩尻から走り現着。なるほど、冠雪した木曽駒ケ岳をバックに、バキバキの順光で64重連を押さえられそうなのだが、その重連の表現と線路周辺の工作物を排除しようとなると、収容人数は3名以下に限られそうで、直前乱入にはハードルが高そうだ。一方地元の方々は、この地を有名撮影地と認識している上で、狂暴粗悪な撮りテツに対して「写真家の方々へ」と題した丁寧な案内板に、駅前の無料駐車場をご利用ください、とまで案内しているという優しさぶり。でもその案内されている駐車場までは、ここから200m以上離れており、やはりここは追っ掛け組は選んではいけない撮影地だったようだ。他もいくつか確認したいスポットはあったが、それらは諦めて場所&駐車スペース確保のため1発目に決めたお立ち台に戻らなくてはならない。進路を変え来た道を引き返し、本番1時間前に現着。すでに20名以上が待機しておられたが、広い撮影地なのでまだ余裕はある。天候もすこぶるよく、待ち時間さえも心地よい。その後数名が増えたところでいよいよ本番。



2025.3/13  中央本線  倉本〜須原   EOS6D 24-105mm

 昨日は失敗してしまった8084レ追跡だが、今日は運転停車のある須原より上流から開始なので可能である。しかし停車時間は6分と短く、余裕が無いことは変わりはない。速やかにクルマに戻り一同国道19号を南下。昨日のような狂暴な運転をするのは、須原より先の伊奈川橋梁組なので、我が集団は至って平和な走行。距離を進むごとに三々五々と散らばって行き、やはり最後は自分一人だけになってしまった。通過5分前に到着したのは、6年前にも撮影した第二木曽川橋梁。付け替え後の新線らしい複線の高架橋を跨ぐ林道からの撮影地だ。




2025.3/13  中央本線  南木曾〜田立   EOS6D 24-105mm

 というわけで今回の撮影も無事終了し、心地よい達成感と軽い疲労感に包まれた。まだ時刻は13時過ぎだったので、高速には乗らず一般道を利用してのんびり首都圏に帰ろうと思う。塩尻に戻り甲州街道で東進するのもいいが、初めてのルートを経験したかったので、中央本線、宮ノ越駅付近から長大な権兵衛トンネルで一気に中央アルプスを貫き、飯田線、天竜川沿いの伊那市へ。トンネルを出ると高所から一気に伊那市街の大パノラマが広がり、美しさに思わず声が出た。中心街を横断し再び山越え。みんな大好き国道152号の杖突峠を越えて茅野から国道20号で帰還したのだった。