西金工臨の再降臨! 郡山出場ホキを撮る!!

2023.8/23

 郡山に入場していたホキ800×4両が検査を終えて、水戸まで水郡線で回送されるとの報が入って来た。1日目は郡山車のDE10が常陸大子まで、2日目は高崎、もといぐんま車両センターの同じくDE10が牽引するとのこと。これはもう2年前見事にスカし、そのまま引退し、自分にとってはこのまま一生お目にかかることのできないと思われた西金工臨の再来ではないか。1日目の常陸大子までの配9334レは夜間である上、勤労日だったのでパス。2日目の配9840レの運転時刻は14時過ぎの設定ということもあり、こいつを狙ってみたいと思う。あわ良くば追っ掛けも・・と考えたが、同じ区間の普通列車の1.2倍くらいの所用時間なので多分厳しいだろうと諦め、一発撮りにすることにした。

 当日、現地までの距離からするとバイクでの参戦が最適かと思われたが、予報では午後のみ降水確率60%とのこと。一発撮りのため電車で行くことにし、特急の快適なシートで駅弁喰いながら麦汁も、と考え準備を整えて玄関のドアを開けると、午前中なのに夕立のような土砂降りの雨。最寄り駅までの徒歩15分の距離すらも億劫になり、急遽クルマで向かうことにした。そうだ、クルマならサブ機も持っていこうと、滅多に使わなくなった小型一眼レフと、脚がしなって本番にはとても使えそうにない学生時代に買った安物の三脚も装備に追加し、後部座席に放り出し出発。後に思い付きのこの判断が悲劇につながることは予想だにせず・・・。

 クルマは土砂降り、晴天を激しく繰り返す中、首都高、常磐道を経て茨城県内に入った。時間もだいぶ余裕があったため、目的地手前で一般道に降り高速代を節約することにした。桜土浦ICで国道6号に流出。単調な国道6号を坦々と走っていると、急激に睡魔に襲われた。どこかで30分ほど仮眠しようと走っていると、随分と空いている駐車場を備えた商業施設を発見。何の店なのかをよく確認しないままクルマを停めシートを倒して30分爆睡した。やかてアラームに起こされ目を覚まし、缶コーヒーでも調達しようと駐車場の片隅の自販機に歩いて向かっていると、この店の看板には・・・

「男のDVD」 「激エ〇!」 「コスチューム」 「おもちゃ多数!!」

などがデカデカと掲げられている北関東の国道沿いによくあるアレ系の店だった。ぅおいおい! 殿方の煩悩や欲望をこれでもかと凝縮させまくったある意味パワースポット的なお店の駐車場のクルマで、真昼間から寝ている中年男性を見て通行人は一体何を思ったのか。すぐに缶コーヒーを調達して速やかにその場を去り水戸市内へ。到着した目的地は西金工臨現役時代には有名ポイントであった、後台(ごだい)だ。実はここも一回訪問済で、何年か前、なぜか急に鹿島臨海鉄道に乗りたくなってしまって、鹿島神宮から水戸まで気動車に乗車。車内で何の気なしにツイッター(現:X この名前嫌い)を見ていると、今日これから西金工臨があるとのことで、水郡線に乗りノコノコとここまでやって来たのだ。現場に到着するも誰もおらず、恥ずかしながら今日は3度目の挑戦ということになる。

 さて今日はどんなもんだろうか、と県道を曲がると、いるいる!! まだ1時間前というのに20名ほどの撮影者が待機しておられたのだ。迷惑にならない場所にクルマを停め、セッティング完了。しかし落ちついてから見回すと、太陽はその場所すらも分からないほどの厚い雲に隠れており、露出は厳しい模様。まぁ雨が降らないだけでも良しとするか、と思い直し、やって来た普通列車で練習を開始した。




2023.8/23  水郡線  下菅谷〜後台   EOS6D 24-105mm

 暗い。暗すぎる。普通列車のそのド派手なカラーリングが、曇天との対比を一層際立たせて物悲しい。そんな自分の心とは裏腹に同志たちのテンションは真逆だった。年齢層の多くはかなり若め。夏休み最後の想い出作りなのか、皆グループでキャッキャと楽しそうだ。気づくとさらにカメラの砲列は増え続け、軽く数えてみると50名ほどに膨れ上がっていた。ちょっと集まり過ぎなんじゃね?と心配していると、そのイヤな予感は的中し、茨城県警がやって来てしまい一同に緊張感が走る。排除されることになったらどうしよう、と全員がなるべく警察官と目を合わせないようにとしていると、「皆さ〜ん、クルマが通る時は道を開けてくださいね〜」とのお言葉。安心し、全員で「は〜い!!」と、よい子の返事。実際地元のクルマが通る時でも声を掛け合いながら道を開けていた。いろいろこういう現場を見てきたが、若者ほどマナーとかそういうのはしっかりしてるとよく思う。するとその我々の振る舞いに天は味方になったのか、あれだけ分厚かった雲が急速に抜け、なんと日差しが差してきた。通過5分前のことである。皆大慌てで露出を変え始める。自分はメイン、サブ機、ビデオの3台態勢だったため、それぞれに調整に当たってみるもなかなか上手くいかないまま、とうとう踏切が鳴り始めた。田んぼの向こうから現れたDE10の速度は非常に遅いため、ファインダーに頭だけ入った機関車のプレビューを見ながらそれぞれの露出を変更していたが、2台同時にその作業をそれぞれやっていると訳が分からなくなり、もうレリーズを切るしかなかった。



 ァ、アイヤー・・・。やっちまった。DE10+ホキ800×4のKY出場の配給列車は、まるで撮ってくれと言わんばかりの最徐行で、我々の眼前を通り過ぎていった。AW2のサービス?汽笛も盛り上げてくれ、現場は奇跡的な直前の晴れ間の出現と、超低速走行であちらこちらに歓喜の声が上がっていた。一方自分はというと、メインはご覧の結果。サブ機はとても見られたモノではなく、加えてビデオの方は、滅多にやらないマニュアル露出で白飛びしまくり。惨憺たる結果で現場の興奮とは裏腹に、トボトボとクルマに舞い戻って来た。JPEGがダメならRAWがある。爆速で自宅に舞い戻ると、すぐにRAW現像に取り掛かった。その結果が以下である。




2023.8/23  水郡線  下菅谷〜後台   EOS6D 24-105mm

 これで自分の腕の限界。欲張って2丁切りなんかしなければよかった。これが2023年、夏の思い出になった。