旧型国電の生き残り 大雄山線の「コデ」に逢いに行く

2022.3/31

 伊豆箱根鉄道大雄山線にコデが走る! という情報を得たのは前日のことだった。伊豆箱根鉄道コデ165型は国鉄30系電車をルーツとする全国でも数少ない現役の旧国だ。ご存知のように大雄山線を有する伊豆箱根鉄道は、箱根の山を越えた静岡県側にも同社線の駿豆線があり、こちらに大規模検修などが行える大場工場があることから、大雄山線の車両たちは全般検査を行う場合、東海道線をJR貨物の電機に牽引されて甲種輸送として三島に向かう。JRの連絡駅までは駿豆線では凸型電機のED31が、大雄山線ではコデ165型が検査車両の牽引を担うわけで、今回は大場工場で検査を受けた5000型電車を小田原まで迎えに行き、大雄山まで牽引するというもの。このことはかねてより知ってはいたが、実際情報と休みが重なったため、早速出撃することにした。

大雄山⇒小田原を回送で10時台に送り込み、小田原で検査上がりの電車を受け取って11時台に大雄山に戻ってくる行程。早起きせずともラクショーな時間。8時にアラームをセットして前日は床に就いた。

・・・と油断したのがいけなかった。目覚めたのはすでに9時半。到底送り込みには間に合わない時間だったので、せめて下り1本だけでも頂こうとすぐに自宅を飛び出した。また何を血迷ったか初撮影地に最適な小回りの効くバイクではなくクルマで出発してしまい、また沿線は未訪問で撮影地なども全く無知の路線。出発早々もう悪い予感しかしなかった。東名を飛ばし大井松田で一般道へ。昨日までの春らしい空模様はどこへやら。今日も朝からバッチリ曇っている。しかも重い曇りだ。しばらく走り大雄山駅周辺に到着したのは、小田原出発30分前のことだった。カーナビを操作しながら沿線を巡っていると、想像以上に線路際まで民家が建て込んでおり、また撮影のためにクルマを停められそうなところはどこにもない。コインパーキングなども皆無だ。ヤバい・・。焦りながら沿線を右往左往していると、一台の対向車が一瞬こちらにパッシングしているように見えた。気のせいか・・?と大雄山線の踏切を渡ろうとすると、なんと踏切横の路地の奥の方に、白と黒の塗分けの軽自動車が、じっと息をひそめているのが見えた。グッとブレーキを踏んだ時すでに線路上に差し掛かっているような気もしたが、しばらく進んでも白黒の軽自動車は沈黙を守ったままで、ひとまずセーフだったようだ。時間も無く焦って撮影地を探している時に罠が仕掛けられた踏切を通過。考えただけでもゾッとするシチュエーションだった。

それはそうと早くポイントを決めなくてはいけない。そう思ってふいに川べりの交差点を曲がると、偶然にも線路が小さな川を渡る鉄橋の袂に出た。引きができず、架線中は手前だし、全編成を収められるか微妙なポイントだったが、もう移動している時間はない。すぐに三脚を展開しセットしようとすると、何と雲台にセットするクイックシューが「無い」のである。家に置いてきたか、でもあんなもの外して保管しないしどこかで紛失したのか?すぐに一眼は手持ちに切り替え、ビデオカメラを用無しとなった三脚へクランプで取り付けホッとする間もなく、遠くの踏切が鳴り出した。




2022.3/31  伊豆箱根鉄道 大雄山線  塚原〜和田河原   EOS6D 24-105mm

 車齢94歳の古豪は目の前をゆっくり通過。鉄橋を渡り終えると和田河原に向かう上り勾配のため、重厚な吊り掛けサウンドを響かせながら5000系を随え坂道を登っていった。これにて本日の活動は終了。腹も減っていたので小田原周辺で旨そうなラーメン屋は無いかと検索してみると、某九州系の豚骨ラーメンの店がお勧めらしいと出てきた。コメントから随分と人気のある店のようなので、混んでいる昼飯時を過ぎて到着するように途中コンビニで時間を潰してその店に到着。味は確かに抜群だったが、山盛りチャーシューに胃袋の7割ほどが占有され、さらに九州豚骨の重たい脂で残り3割が埋まり、完全グロッキーな状態で店を出た。『初見の店では大盛にするべからず』という持論を信じて正解だった。家路に就くため国道1号を東進し、茅ヶ崎付近まで来たところでノックダウン。クルマを停めてしばらく休めそうなところを探して、とあるホームセンターの駐車場にお邪魔することにした。1時間ほど苦しみの中で仮眠を取り、少し体調が回復してきので再び家路を急ぎ、到着するころにはすでに夕方になっていた。


ホームセンターの駐車場から。今月置き換わったばかりの相模線E131系が通過していった。