はるばる、115系高崎車に逢いに行く

2017.2/14

 月初にインフルエンザに侵され欠勤した部下のシフトの穴埋めのため、自分自身の休日の調整をしていると、急遽4連休を作ることができてしまった。今までならいろいろと撮影の欲求がでてくるものだが、もう敢えて労して遠征するような対象はパッと思いつかなくなってしまった。廃止も決まっている三江線でも乗ってこようか・・・、などと半ばヒマつぶし程度に考え始めていたが、この際テツは止めて、珍しく地元に帰って友達に逢って来ようという健全な計画を立て始めていた。しかしその前に、最近痛みが酷くなり始めていた親不知・・・ではなかった、親知らずの治療に初日は充てようと思い、冬休み一日目は近所の歯科医に出向いた。その歯科医、ヒマなのだろうか初診だというのにレントゲン、付近の虫歯の治療、そして麻酔を2本打ってからの親知らずの抜歯と、所要2時間半のフルコースで完治させてくれた。あとは2,3日したら消毒しに来てくださいとだけ言われ病院を出ると、人生2度目の麻酔というものに体が拒否反応しており、立っていられないほどの虚脱感が全身を襲った。当初は、この後少し昼寝してクルマで深夜、首都圏へと向かうつもりだったが、とても遠出などできる状態ではなく、病院を出てすぐのコンビニの駐車場で、なんと8時間もの間、朦朧とした意識の中、後からやってきた激しい痛みに耐えながらひたすら時を過ごしていると、もう残る3日の休暇もどうでもよくなってきてしまった。朝に食事したきりなので相当に腹も減っているがこの状態では咀嚼できるはずもなく、仕方なく8時間お世話になったそのコンビニでカロリーメイトを購入。自宅に帰りそれをつぶしながらお湯に溶かし、20分以上かけて胃に流し込んだ。
 翌朝、少し体調が回復してきたのと、さすがに残り3日の休みを無駄にするのはもったいないので、痛みをこらえていつものように遠征の準備を始めた。8時過ぎ、福井出発。ターゲットは翌早朝なので全く急ぐ必要はなく、一般道をひたすら使って中部山地を横断する。しかしカロリーメイト以外まともな食事はすでに24時間以上もしておらず、戦意の消失になりかねないと、国道沿いにあった道の駅の食堂でかけそばを注文。治療した反対方を駆使して何とか腹に流し込んだ。そんな訳でそのかけそば以外はペットボトルのお茶とタバコだけを燃料に6時間走り、とある駅に到着した。吾妻線「郷原」という駅だった。今回は終焉迫ると言われる高崎車115系を撮影するためだけに500kmも遠征するという、2年前には想像もしなかった計画である。115の運用は調査スミ。間もなくこの「郷原」に115系がやってくる。







暖かな夕陽に包まれる郷原駅にカボチャ電車登場。
2017.2/14   吾妻線  郷原   EOS5D 24-105mm

 見飽きた115とはいえ、やはり「ナマ」を見てしまうと歯の痛みと食事の不自由などすっかり忘れ、明日の撮影意欲が沸々と沸いてきた。撮影後すっかり暗くなった国道を吾妻線沿いに渋川へ抜け、途中道の駅に併設されている温泉で3時間ほど時間をつぶし、前橋市内で久しぶりのまともな飯を食い、栃木県は道の駅「思川」が本日の宿泊地となった。

2017.2/15

 ターゲット通過40分前に起床。冬の北陸で太陽を見ることは何日かに1回程度なのだが、さすがに冬の関東平野。日の出の頃から空は澄み渡り、天候の心配は全く無用だ。まだ抜歯の痛みもあるので、ブラックの缶コーヒーを片手に撮影地へと急ぎ、クルマを走らせること約10分。河川敷の有名ポイントに到着した。初めて訪問する場所。最近ネットなどでこの撮影地からの作品を数多く目にするようになり、いつか訪れたいと思っていた場所。想像していた通り、遥か彼方にそびえる日光の連山をバックに昇ったばかりの朝陽が下り列車の顔面を照らしてくれそうだ。撮影者は4名。霜の降りた広い河川敷で427Mを待った。


日光、男体山をバックに6両で通勤輸送に応える115系。美しい・・。
2017.2/15   両毛線  思川〜小山   EOS5D 100-400mm

 現場にいた一同大満足。一方この427Mは小山でわずか8分の折り返し436Mですぐに戻ってきてしまうため、すぐに場所移動のため現場を後にするも、当然ながら完全な逆光であったことと撮影ポイントを決めていなかったため、準備をする間もなく436M通過。見るテツ。仕方なく次のターゲットの捕獲に転戦することにしよう。しばらく県道を走り、こちらも両毛線有名撮影地である岩船山バックに到着した。ここは当然バリバリの快晴。背後の切り立った岩船山は2011年の東日本大震災で頂上付近が崩落して、山容が大きく変わってしまった山として有名だ。早速セッティングに入るとすぐ踏切が鳴り出した。露払い211系が先の登場だ。






2017.2/15   両毛線  岩船〜大平下   EOS5D 24-105mm

 完璧な光線状態の中、MT54の音も軽やかに颯爽と通過して行った115×6両。もともとこの朝の2本を撮ったらすぐに帰ろうかと思っていたが、ここまで収穫があるとついお替わりをしたくなってしまう。クルマに戻り全くプランになかった115の午後の運用を調べ始める。するとここから100km離れた信越本線の横川を往復するということが分かった。距離と時間からしてかなりギリギリな模様。しかしみすみす見逃すわけには行かず。国道50号、北関東道、上信越道を経て横川遠望のポイントに到着した。自身何度も立ったことのある撮影地。今日のターゲットはたったの3両であるので、どのように画に切り取ってやろうかと踏切周辺をウロウロ、近づいたり遠ざかってみたりしていると、過去、全く気が付かなかったのだが、背後に浅間山が山頂付近を覗かせているではないか。せっかくのその浅間山山頂と3両の115をどうしてくれてやろうか・・・と気を揉むことさらに約10分。結局ベストな一地点を決められないままその時になってしまった。




2017.2/15   信越本線  横川〜西松井田   EOS5D 100-400mm

 ・・・さて、そろそろ本当に帰ることにしよう。休みはもう一日あるのだが久々の遠征と久々の収穫に、今日のこのたった3地点だけで満足してしまった。とりあえず長野方面を経由して日本海側に出よう。高速にのって急いで帰るほどでもないので、一般道をのんびり走り福井を目指そうとルートを考え始めると、あるもう一つの115系のステージが頭をよぎった。吾妻線だ。早速115の運用を調べると、もってこいの列車が一往復ある。すぐに碓氷バイパスを駆け上がり軽井沢に出て、国道146号線、通称「日本ロマンチック街道」という言ってて恥ずかしくなるような名前の高原道路を経て、ようやく吾妻線沿線に到着。山を越えてもバリバリな快晴はバリバリなままで、どこでどうやってやろうかばかりを考えながら脇道に入ったり、降りて線路に近づいてみたりもしたのだが、ついにタイムアウト。仕方なくどうでもいい跨線橋から大前に向かう533Mを狙ったのだった。




1日5本の大前行き 533M
2017.2/15   吾妻線  袋倉〜万座・鹿沢口   EOS5D 100-400mm




その返しの536Mを後追い。
2017.2/15   吾妻線  大前〜万座・鹿沢口   EOS5D 100-400mm

 この後は長野方へ抜ける鳥居峠〜菅平〜中野市内へ。どうしても今日は(も)ラーメンが食べたかったので長年培ってきた勘を頼りに市内をうろつくも、今日に限ってそのラーメンセンサーの不調により見事に銘店探しは失敗。仕方なく信州中野ICから高速に乗り、富山県内のSAで大して旨くないラーメンセットを食して福井を目指して走り続けた。