2139に逢いに・・・ 最高の休日

2017.1/26

 年末年始の超繁忙期はいいとしても、その後も諸般の事情により仕事を休むことが全く許されない状況に陥り、ファイアーファイティングな仕事を毎日繰り返しているうち、気づけば1月も月末になりつつあった。最後に取得した休暇はいつだっただろう・・? スケジュールを思い出しながら考えていると、12月8日だったことを知り愕然とした。間もなく50連勤してしまいそう、ヤバい、オレ死ぬかも・・・。睡眠と食事は人並みに摂れてはいるが、その日数を知ってしまうとなんだか気力というものが全く沸いてこなくなってしまった。病院送りにされる前にセルフメンタルケアが必要だ。一日ゴロゴロして魂の洗濯をしよう。明日もくだらないモノから重要な業務まで、陽の昇る前から出社する予定だったが、もうどうでもよくなり急遽、休みを取る調整に入った。業務上不都合が生じてクビでも何でもしてくれ!と半分ヤケクソになりながらもその調整に追われた。

でもさ・・・

もったいないじゃん。1週間以上停滞していた低気圧が、明日は一旦緩むことを知ったしまったからには、もう深夜の運転だろうが出撃しない訳にはいかない。すぐに翌日のネタ調べの作業に取り掛かった。結果は・・!? 昨年春、国鉄色に復元されたEF652139が本日、関西にやってきているらしい。明日の運用は吹田を夕方に出発し四国に向かう75レ! 伝え聞く美しく甦った国鉄色PF2139号機をまだ一度もこの手中に収めたことは無い。すぐにプランを練り始めた。75レが吹田を出発するのは16:30頃。この陽の短い季節、日照が心配だったが調べた大阪の日没は17:31。なるべく始発に近い所で待ち構えれば何とかなるかもしれない。午後遅くということと都心部での撮影ということもあって、クルマではなく公共交通機関で向かうことにした。

 当日、11時過ぎのサンダバで福井出発。約50日ぶりの休暇に抑えきれない高揚感から、出発してすぐにビールを開栓して独りカンパイ。雪晴れの中、高速で突っ走る683系の揺れに身を委ねているとすぐに眠りに堕ちた。途中3か所ほどで目が覚めたが、2時間ほぼまどろみの中で、気が付けば京都を出発したところだった。やがて終着大阪。最終目的地まで電車で十数分だが2時間以上余裕があり、食べログで調べておいた駅チカのラーメン屋で腹ごしらえ。それでも時間があったので梅田のヨドバシカメラでヒマを持て余し、いよいよ撮影地に向かうことにする。普通列車に乗って尼崎へ。すぐに東西線で数駅戻った地下の加島駅に降り立った。撮影地はここから徒歩5分程度。なるべく早い時間で撮影したいがために選んだこの撮影地は、有名な加島跨線橋だった。まだ75レ通過まで1時間ほどあるので、行き交う列車を練習に時間をつぶそうとその場所へ近づくと・・・、なんとこんな平日にすでに10人以上の同好の士たちが臨戦態勢に入っているではないか!? やはりEF6627と並んで注目度の高いカマ。予想以上の人出にうろたえると同時に、スペースの空きというもっとも重要な問題が出てきた。挨拶して恐る恐る集団に近づくと、やはりベストポジションは占領され、やむなくその一団の一番端に三脚を立てることができた。太陽はまだ傾きかけという程度で、線路にもバッチリ日が当たっているが、気になるのは背後を走る阪神高速の高架橋。足元にあるその影が時間を追うごとに線路を侵略するのだろう。あと一時間、無事でいられるだろうか? ファインダーで画角調整を済ませると、あとは寒さに耐える1時間が始まった。

 そして時が経つにつれ、高速道路の影はじわりじわりと線路をむしばんでいく。最初70mm程度で調整していた画角もやがて望遠に付け替え、さらにズームで300mmまでに達してしまった。先客の一部はどういうことか撮影場所を変える者まで現れ始めた。どうだ、もう限界! と思ったその時、築堤をゆっくり上ってくる長大な貨物列車が姿を現した!




2017.1/26   北方貨物線  塚本(信)〜尼崎   EOS5D 100-400mm

 あ、危ねぇ〜!! でも胸熱!!!  ビルの僅かな隙間にスポットライトのように差した夕陽がマスクとサイドを照らしてくれた。大満足っす。2139号機は四国へ向けて速度を上げて通過し、現場は心地いい満足感に包まれたのだった。自分はすぐに大阪に戻り、往路と同じようにサンダーバードの車内で祝杯を高らかに挙げ、移りゆく景色を肴に余韻に浸るのだった。