愛知機関区 原色DD51が奇跡の重連!

2016.5/24

 ある2連休の初日、何の気なしに眺めた貨物運用サイトで、以前から気になっていた愛知機関区の非更新色=国鉄色DD51が重連になって運用を回りだしたことに気が付いた。愛知機関区DD51と言えば、紀勢貨物も無くなった現在、名古屋圏〜四日市方面への貨物輸送がその主たる任務であり、その需要の多さから17両ものDD51が在籍しているのだが、その中で残された国鉄色はたったの2両。重連運転もそれなりにある愛知機関区の運用で、回りに回ってその2両同士が手を組むのは数か月に1回程度になっているのが最近の趨勢だ。本日は79レで稲沢→四日市、72レで四日市→稲沢と1往復している。重連総括制を示す「ソ」が下りでは853号機、つまり重連の四日市方になり、反対の名古屋方の次位を示す「次ソ」は1805号機ということになる。過去の実績からするとこの運用に入るとなぜか翌日も同じ便に充当される確率が高く、休みである翌日にも79レ→72レで入ってくれるはず。そうとなればさっそく出発だ。

 79レは正午ごろ稲沢を出発するため、9時すぎに福井を出発。四日市まで全区間高速で向かうとなると名古屋方面へ大きく迂回しなければならないので、北陸道から名神高速に入った最初のインター、関ケ原で降り、四日市をまっすぐに目指す国道365号線で目的地を目指す。昨夜、関西本線の名古屋口の撮影地をいくつか調べてみると、どうやら四日市周辺に集中して存在していることが分かった。79レが四日市に到着後、しばらくの停車の後、塩浜駅への運用も撮影したいので、必然的にこの近辺で撮影したいところだが、ある程度の市街地が形成されているところなので、追っかけに有利なバイクで出かけようと昨夜までは考えていたのだが、どうも午前中は雨の予報であったので仕方なしにクルマでやってきた。市内中心部をスルーし四日市手前の海蔵川橋梁のアプローチ部分にやって来た。今日は予報通り厚い雲に覆われジメジメと湿気が非常に高く、視界もよろしくない。なので有名な土手を煽るアングルではなく、晴れれば逆光となる線路の反対側でセッティングをする。そして定刻。遥か彼方からDD51のヘッドライトが接近してきた。徐々に大きくなるターゲット。しかしファインダーを覗きながらも何か違う違和感を憶えた。




2016.5/24   関西本線  富田浜〜四日市   EOS5D 100-400mm

 重連単機だった。こんな日もあるもんだ、と早速DD51重単の後を追う。この79レ、実は四日市駅でしばしの停車の後、体勢を立て直して終着、塩浜へと向かうため、先回りをするためだ。撮影場所も限られる四日市周辺で1発目を撮影したのはこのためだった。トラックで大渋滞中の国道25号に戻りイライラしながらも十数分で近鉄海山道駅にほど近い跨線橋に到着。すでに先客一名様。隣でスタンバイさせてもらっていると、やがて1名、もう1名と続々追っかけをしてきたと思われる同志たちが集結しだし、最終的に6名ほどでの撮影大会になった。




2016.5/24   関西本線  四日市〜塩浜   EOS5D 24-105mm

 生憎の空模様の下、荷も無く力をあり余らせているDD51×2はゆっくりと跨線橋の下を通過して行った。こうなれば復路72レに期待しよう。原色DD51重連が荷を牽いてくるはずだ。DD51重連と、後ろに連なるタキの姿を想像しながら一体どこで撮影しようか、と途方に暮れていると、今撮影したばかりの跨線橋の向こうから狙えば欲しい被写体をゲットできてしまうんではないか?と思い、すぐに200mほど移動した。遠めに見てキャパも狭そうだし、今、現場にいる多くのライバルが集結してしまったら大変だ。と、一人そそくさと跨線橋を降り踏切を渡って現場に到着。直線からカーブに差し掛かかり、前ソが首を少し振ったところで撃てばいい感じだろう。でも編成が長過ぎてしまうと最後尾まで入らないと思われる。しかしもう移動している時間は無い。先ほどまであれだけ空を覆っていた雲はいつしかその厚さは徐々に薄くなり、柔らかな影も地面に投影するまでになってきた。いよいよ登場の時間だ。狭い工場裏の路地での撮影。同じ現場に駆け付けた同志4名。我々と線路の間には生活道路。クルマが通ったら全員オシマイだ。




2016.5/24   関西本線  塩浜〜四日市   EOS5D 100-400mm

 う〜ん・・。やっぱり後ろが切れてしまった。当初は72レはここで打ち止めにしてすぐに帰還しようと思っていた。明朝の仕事も早い。しかしナマのDD51重連を見てしまうと自然と熱い血がたぎってしまうのが分かった。72レは往路と同様、四日市で時間調整のため26分停車する。さもあれば当然追っかけだ。すぐに国道に飛び出した。撮影地など皆目見当が付かないので、カーナビの地図で撮れそうなところを直感で感じ取りながら確認しようと思うが、この残り時間、2回やってダメだったらもう諦めるしかないだろう。まず1発目。国道から不意に曲がった突き当りにある小さな小川をまたぐ鉄橋に到着。ダメだった。焦りながらも冷静さを保ちながら車を転回し、次のターゲットポイントに到着。ホームセンター裏の直線にかかる交通量の多い踏切だった。しかしここも安全地帯に三脚を立てると障害物が多すぎる。どうしたことか・・。通過まであと5分。こうなりゃ手持ちでやるしかない。ほとんど使ったことがないため今まで全く信頼していなかった動体予測のAFにセット。下がった遮断棒から少し身を乗り出して、遥か遠くから疾走してくる赤いDD51にロックオンした。




2016.5/24   関西本線  四日市〜富田浜   EOS5D 100-400mm

 完全な逆光だったが、動体予測は意外にも非常に正確で、むしろいつもやっている置きピンよりも精度が高いんではないか、と思うくらいだった。十分満足した。踏切で待つ多くのドライバーの好奇の視線を浴びながら機材を撤収。来たルートと全く同じ行程で自宅を目指し本日の撮影行は終了となった。

 後日、少し気になってあの日撮影したDD51853とDD511805のコンビは、なぜかこれを執筆している1週間以上もペアを組んだまま毎日のように運用を回り続けている。本来2日で解消されるこの運用になぜ就きまくっているのか。まさか最期の餞か? なんだかイヤな予感しかしないが、重連を解消されたとしても末永くこの愛知機関区のDD51が活躍することを願って止まない。