中央東線に帰ってきたスカ色。長野車C1編成。

2015.6/6

 去る3月のダイヤ改正で豊田車の115系の運用が終了した中央東線。その他長野車の運用も211系の大量増備により共通運用である長野車115系も大幅に減ってしまった。その数たったの1編成。そしてその残された1編成こそ、復活した元祖スカ色であるC1編成であった。その唯一のスカ色C1編成が今なお定期的に首都圏まで乗り入れていることを知ったのはつい最近であるので、早速6月の入梅直前の良く晴れた日、ツーリングがてら甲斐路へ足を運んだのであった。

 当日は順当に行けばA37運用にC1が入りそうな予測。午前中と午後の早い時間に高尾と甲府をそれぞれ1往復づつするというとてもお手軽な運用だった。6時に起床しバイクで出発。まださわやかな朝の東名を飛ばし圏央道〜中央道へ。1時間ほどで上野原ICに到着することが出来た。今日の最初の目的は四方津の鉄橋俯瞰。かなり知られたアングルだがまだ自分は訪問したことが無かったポイントだったので、地図で目星を付け、アプローチ方などよく知らぬまま四方津駅に到着した。良き佇まいを見せる四方津駅舎。ツツジの花が色を添えていた。空は一面の快晴。散策日和ということもあって、この四方津駅を起点とする高柄山へのハイキングのため、中高年のライトな登山者たちが駅前で出発の身支度を整えていた。自分は目的は全く違うものの、撮影するポイントはそのハイキングコースの途中からということを事前にリサーチしていたので、彼らと行く先は途中まで一緒だ。駅前で缶コーヒーを飲みながら一服し終え、そろそろ現地に向かうことにした。駅裏から集落を抜けて川を渡り、ハイキングコース入り口にバイクを止め、急な獣道を登ってゆくと、たったの5分で撮影地に到着することが出来た。あっけなかったが、ここから300m先に中央本線の上下分離した橋梁が見渡せた。C1が充当予定の527M通過まであと30分程度あるが、運行頻度の高い中央線であるので何度も練習をしながらその時を待っていた。




527M。後追い。奥のコンクリートアーチが上り線となる。
2015.6/6  中央本線  四方津〜梁川   EOS5D 100-400mm

 新緑の季節はとうに過ぎたが、緑のキャンバスを背景に往くスカ色は最高。この527Mの返しとなる538Mは初狩付近で撮影しようと考えていたが、この四方津の上り線を往く画像も欲しくなってしまい、538Mはここでまた狙ってみる作戦に変更した。とは言っても通過時刻までまだまだ3時間近く時間があるため、午後の便の撮影地場所を決めるべく大月〜初狩付近へロケハンに出かけることにした。急峻な谷に沿って走るため右へ左への急カーブの連続する国道20号線を西へ。途中開業から使われているだろう古いトンネルのポータルを見つけ、飛び出しを午後の下りの撮影地にひとまず決め大月市街に到着。初狩付近で上り列車がカーブしながら俯瞰で切り取る超有名アングルにも行ってみたが、周囲の木々の成長でどうにも撮れないことが判明し、しばらく周囲をウロウロする。そして線路沿いの小道を進んでいくと前方から突如として青い車体が姿を現した。EF6438のチキ工臨だった。当然バイクに乗っていたので見送るしかなかったのだが、途中採石場に向かう陸橋の上でテツが1名重武装し線路方へレンズを向けていたのを思い出した。惜しいことをした。工臨の行き先は分からないがもし運が良ければ返しも撮れるかもしれないと少し期待し、そろそろ時間になってきたので四方津の俯瞰に戻ることにした。予想以上に時間を使ってしまい、中央高速を1区間だけ乗り四方津に到着。3時間前と同じく機材を持って山道を登り始めると、ビデオを三脚に固定するクランプをバイクに忘れてきてしまったことに気が付いた。ヤバイ、何気に時間が無い。慌ててバイクに戻りダッシュで道を駆け上がり、カメラだけをセット完了するとすでにC1編成が上り線のアーチ橋に姿を現す瞬間だった。




2015.6/6  中央本線  四方津〜梁川   EOS5D 100-400mm

 なんということか、たった5秒セッティングが遅かっただけで先頭車が見切れてしまった。仕方なくリベンジをその場で誓い、片づけを済ませ山を下りていくと、麓からテツな方が1名登ってきた。「こんにちは〜」とお互いヤマの挨拶をしてすれ違ったのだが、彼は一体ナニを撮影しに来たのか? そういえば初狩ロケハンの時も陸橋でEF64を狙っていた人以外にも、何箇所か別の場所で、そのスジの方が線路際で怪しい動きをしているのを幾度となく見かけた。チキ工臨だけなのか? にしてもいずれも軽装備の学生テツがそのほとんどで、工臨撮影とは考えにくい。もしかしたら配給かもしれない。まぁ彼らに聞くのが一番手っ取り早いのだが、学生テツ相手に情弱な大人がネタを尋ねるのは気が引けてそれはしなかった。さてバイクに戻り例のトンネル飛び出しに向かう。今度は下り539Mだ。通過時刻30分前に到着。するとすでに2名の学生らしきテツが自分と同じアングルでトンネル出口方を狙っている。さらにしばらくするとタクシーでやって来たもう1名が合流して、自分含め計4名でスタンバイをしていると539M通過までだいぶ時間があるにも関わらず、彼らのスタンバイの動きがあわただしくなった。なんだろう・・・。自分も一応望遠を繰り出し「撃て」の体勢に入った。




山手線用E235系トウ01編成による性能試験運転。
2015.6/6  中央本線  梁川〜鳥沢   EOS5D 100-400mm

 なるほどー、皆さんこれを狙ってたんですね。自分は新型には興味ないのだが、このE235が山手線で営業運転を開始すれば、自然豊かな中央本線を往く光景は貴重なものになるんだろう。それはそうと、さぁいよいよ本番スカ色C1編成がやって来ますよ!皆さん! と改めて気合を入れ直し露出、構図調整をしていると、先ほどの3名の学生テツはすぐに撤収し、返しの試運転列車の撮影場所探しに行ってしまった。人の趣味はそれぞれ。1人残された自分はいつ飛び出してくるかもしれない115系のマスクを待った。




渋い、渋すぎる。若者たちよ、これが国鉄型車両だ。
2015.6/6  中央本線  梁川〜鳥沢   EOS5D 100-400mm

 次は本日の締め、550Mだ。正午を回り腹も減ってきたので大月市内のラーメン屋でランチ。それでもまだ余裕があったので、午前中見送ったチキ工臨がもしかしたら初狩工臨だったかもしれないと想像して初狩駅構内に確認へ向かった。すると閑散とした構内のスイッチバックの引込み線にチキが2両だけ放置されていて、肝心のEF6438の姿はどこにもなかった。いつの間にか64は単機で帰ってしまったらしい。30分ほど駅の待合室で昼寝をした後、550Mの撮影場所を決めなくてはならないので移動開始。結局午前中のロケハンでは、先ほどのトンネル以外思ったような成果は上げられず、エマージェンシーくらいにしか考えていなかった採石場への陸橋に行ってみると、午後のこの時間のきつい逆光の下、水張りの終わったばかりの水田と川の水面が光に輝いて眩しいくらいで、腕によっては何とかモノにできる予感がしてきた。早速立ち位置、露出を何度も繰り返し調整しながら来たる550Mを待った。




2015.6/6  中央本線  初狩〜大月   EOS5D 24-105mm