【国鉄色番外編】 湘南モノレール500形を撮ろう!

2014.6/20

 大船の街が好きだ! 以前勤めていた会社の事業所が大船にあり、半年ほどこの街に通っていた時期があった。自分は夏という季節はもともと大嫌いだったが、なぜか大船の夏は好きだった。湘南の玄関口だからだろうか、海に向かう観光客と地元民でいつも活気づいている印象で、なんだか通りを歩いている人全員が自分の生活を楽しんでいるような、そんなエネルギッシュな雰囲気を感じていた。それから10年以上経った今もその印象は変わらない。

 全然関係ない話を書いてしまいましたが、今回のテーマは大船を起点とする湘南モノレールです。先日某鉄道関係のニュースで湘南モノレールの500形に「さよならヘッドマーク」が取り付けて運転を始めたという情報を知りました。形式は知らんが新しい車両も増えたし、今まで見慣れた500形をついに置き換え完了してしまうのか・・・と思い、今までちゃんと撮影したことのない湘南モノレール、いや、それどころかモノレールなんて今まで全く撮ったことないので、人生経験を積むためだけ撮影に出かることにしました。その前に事前情報を仕入れなければ、ということでいろいろネットでリサーチをかけました。しかし新型5000系が新たに1本増備したとの情報はあったものの、500形廃止という情報はありません。というわけで、その時は特に気にも留めず、ある休みの日、大船を目指すことにしたのです。今日は機動性を重視してバイクとEOSkissの軽装備です。街中で三脚を広げ白レンズを構えたり、カメラと同時にビデオを回したり、なんて小心者のボクにはできません。メガネではなく普段あまり使わないコンタクトを入れてきたくらいです。テツ臭を極力消すためです。
 運転頻度もそれなりにあることだし、いつものように朝から気合を入れる必要など全くないため正午頃出発。鎌倉街道を走り自宅から30分ほどで大船に到着しました。よく訪れる大船市街外れのラーメン屋で昼飯。食後の一服ついでにモノレールの軌道の下にあるコンビニで缶コーヒーを飲みながら何本かモノレールを見送りました。カラフルな新型車が次々に通過して3本目。ようやく目当ての500形がやってきました。交換可能駅といろいろな経験則を考えると、日中は5本の車両が運用されていることになりますが、その500形自体が何編成あるのか調べてきていないことに今気がつきました。でもまぁ今行った1本が行ったり来たりするわけですから何回でも撮影できそうです。ひとまず動いていることに安心してバイクを走らせると、上空の向こうから別の500形があらわれました。5本の運用中、本日は2本が500形のようです。天気は薄曇り、というより薄晴れ。風もそこそこあるので不快ではなく、初夏の湘南モノレール沿線で撮影を開始します。




結構なスピードで飛ばしてきます。大船行500形
2014.6/20  湘南モノレール   西鎌倉〜湘南深沢   EOSkissX3  55-250mm




74パーミルの急坂を力行で駆け下りたりするモノレール。そういえば昔、「湘南爆○族」なんてマンガありましたね。

 当たり前かもしれませんが、自分のような部外者からすれば、急勾配を減速もせず頭上を駆け抜けてゆくモノレールにいちいち「おぉ〜!」となってしまうのですが、当たり前ですが地元の方は誰一人として見上げる人はいません。そんな中、一人一眼レフを片手に撮影ポジションを探してうろつきます。次はトンネル飛び出しを狙ってみます。ここ湘南モノレールは非常に起伏の富んだ丘陵地帯を走ります。その昔、懸垂式モノレール(サフェージュ式)の開発を進めていた三菱重工が、ライバルである跨座式(アルベーグ式)に比べて利点である急勾配の登坂能力を実証するために起伏の多いこの地を選んだという言い伝えがあるほどです。しかしさすがの懸垂式でも沿線にある鎌倉山はさすがに険しかったのか、峠を400mを越す本格的な山岳トンネルで一気に克服します。そのトンネル坑口が見えそうな場所に移動してきました。しかしトンネル坑口へと続く軌道敷地は厳重に高いフェンスに防護されていました。あと自分の身長が10cm高ければなんとか、という状況でしたが、歩道に止めたバイクのシートに立ってみたりフェンスの穴に片足を突っ込んでみましたが、無理でした。と、今日の相棒にライブビュー機能があることを思い出しました。一眼レフは己の肉眼で捕らえなければ意味無しと思い、今まで「ゼッテーいらねぇーこんな機能」とシロウトが使うモノと決め付けていましたが、本日初めて役に立ちそうです。シャッター幕を「パンッ」と開いてからカメラを持ってバンザイの体勢でトンネルへレンズを向けました。




これでもちょっと身長が足りなかった。鉄道写真を撮る時だけ180cmくらいあればとよく思う。
2014.6/20  湘南モノレール   湘南深沢〜西鎌倉   EOSkissX3  55-250mm




少し移動して続いてやってくる続行車も撮影。サミットに向けて爆走中。
2014.6/20  湘南モノレール   湘南深沢〜西鎌倉   EOSkissX3  55-250mm




多分唯一の海バック。夏、いよいよ湘南モノレールの季節がやってくる。
2014.6/20  湘南モノレール   目白山下〜片瀬山   EOSkissX3  55-250mm

 ひとしきり撮影の後、終点である湘南江の島の一つ手前の目白山下駅に向かいました。今日は2本の500形が運行されているので、この目白山下で500形同士が交換します。ホームに上がると終点にも近いので列車を待つ人は誰もおらず、オーシャンビューのこの駅は海から上がってくる風が心地いい場所でした。下界の小学校ではプール開きが済んだのか、子供たちがキャーキャーと盛り上がっています。事前にやってくる新型5000系を練習にしてその時を待ちます。






湘南江の島行きが入線。
2014.6/20   湘南モノレール   片瀬山〜目白山下   EOSkissX3  55-250mm




もう一つのトンネル、片瀬トンネル。大船行きがやってきた。
2014.6/20  湘南モノレール   湘南江の島〜目白山下   EOSkissX3  55-250mm




500形同士の交換。今日は目白山下劇場。途中駅は全て無人駅なので車掌さんが集札をします。
2014.6/20  湘南モノレール   目白山下   EOSkissX3  17-55mm




2014.6/20  湘南モノレール   目白山下   EOSkissX3  17-55mm

 初めて撮るモノレール。いつもの鉄道撮影と違ってどこをどう狙って構図を決めたらいいのか、天地バランスを取るのがなかなか難しいことに今さら気がつきました。今日一日、といってもまだ1時間ちょっとですが、モノレールを見ていたらとても乗りたい衝動に駆られてきました。全線フリーパスも全駅の券売機で購入できるみたいですし、一往復してみようと思いましたが、その前に、一発やっておきたいことがあったので、乗車は少し我慢して鎌倉山に向かいます。




森をバックに流し撮り。沿線はとても緑が豊かです。
2014.6/20  湘南モノレール   西鎌倉〜湘南深沢   EOSkissX3  17-55mm

 さていよいよモノレールに乗ってみます。沿線はどこも住宅地が駅周辺にあり、放置自転車などでバイクを置くことはできそうもありませんでしたが、さっきの目白山下だけは駅前が少し開けていたので、バイクを停めさせていただき、券売機で¥600の一日乗車券を購入して列車を待ちました。






2014.6/20  湘南モノレール   目白山下   EOSkissX3  17-55mm




2014.6/20  湘南モノレール   大船   EOSkissX3  17-55mm




2014.6/20  湘南モノレール   目白山下〜湘南江ノ島   EOSkissX3  55-250mm




2014.6/20  湘南モノレール   湘南江ノ島   EOSkissX3  17-55mm

 目白山下駅を拠点に江ノ島〜大船を1往復してみました。途中車庫のある湘南深沢駅で車内から車庫の方へ目を凝らしてみると、もう1本の500形が留置されており、さよならヘッドマークが掲出されていました。調べていないので定かではないですが、引退するのはヘッドマークを付けた1本だけなのか、それとも近日中に500形自体が形式消滅するのか、結局謎のままでしたが、自宅から近すぎるあまり、後日、「撮っときゃよかった状態」にはならずになりました。途中駅のホームでも500系にカメラを向ける方を3組ほど見かけましたし、それがあまり遠い未来ではなさそうです。

 いかがでしたか? 全国の国鉄色も風前の灯になり、今後は自然とこうした活動になって行くんでしょうか。夕方の涼しくなった風を切りながら帰路についていると、少し寂しい気持ちになりました。
 

お待たせしました。【昔の写真】です。

 1984年の春だったと思います。小学校の友人、T君と日曜日、江ノ電と湘南モノレールに乗車しに行きました。今回はモノレール特集なので江ノ電の写真は次回へ繰越し。湘南江の島から300形に乗り大船へ向かいました。当時は全て2両編成。開業当初から活躍している300形はなんとも愛嬌ある顔立ちですね。




1984年頃   湘南モノレール   湘南江ノ島




現在は駅ビル一体型になっているが、当時、大船駅には屋根が無かったようだ。
1984年頃   湘南モノレール   大船