485系「くびき野」 2014年秋編

2014.9/10

 順調に深夜の関越道を北へ飛ばしていた。関東の天気は一日中冴えない感じであったが、明日日本海側では概ね晴れの予想。目的地は今日も柏崎周辺だ。先月、485新潟車の国鉄色3編成のうち、とうとうK2編成が帰らぬ旅路に発ってしまった。北陸新幹線の開業による日本海縦貫線の運用体系が大きく変化し、予てから個人的にアツイまなざしを送っていた「北越」「くびき野」が共に運転を終了してしまう知らせが届いた矢先のことだった。当然このほかにも首都圏〜北陸を新幹線と連絡する「はくたか」も廃止ということで、それらを担当してきた681系も大量に運用を離脱し、日本海縦貫線の長距離輸送を担ってきた485系など、簡単に駆逐してしまうだろう。こうして今まで当たり前のように深夜の関越道で485に逢いに行っていた日常が間もなく終わってしまう。残す季節は秋〜冬〜初春のみ。願えば時が止まるなら、いつまでもこうして三脚1本とカメラとビデオを持って眠気と戦いながらウキウキしながら国境のトンネルをくぐって新潟に行きたい・・・。でも残された時間はあと僅か。出来る限り記憶と記録に残したい。そう思って今日も新潟入りしたのだった。

 石打SAに到着。少し仮眠した後、小千谷ICで高速を降り、小さな峠を越えて柏崎市街に入ったのは午前6時くらいだった。今日は先に旅立ったK2編成の相棒、K1編成が「くびき野」で新井〜新潟を往復するA621運用と、それを追って同じく「くびき野」のA622運用にT18編成が入るという素敵な一日だ。天気予報は正午前後では晴れ。その他はだいたい曇りというイマイチな日。それでも一発だけでも勝利できたら大満足だ。柏崎から柿崎まで走り、コンビニ朝食とガソリン補給してから撮影場所を考える。天気は現在のところ晴れ曇り半々。たまに陽が差す程度の安心できないそんな状況だ。というわけで本気勝負ではなく、ちょっと消化気味になってしまうが海バックの流し撮りで、体をほぐして行きたい。




2014.9/10    信越本線  柿崎〜米山   EOS5D  24-105mm   

 ちょうど小さなはぐれ雲が自分と太陽の一直線上に入った時、いつものように列車の通過となってしまった。シャッター速度も流し撮りには全くの不足で「ボワッ」とした風景の中の線路の上を、485が走っているというより「載っている」だけの映像が手元に残った。一発目はこんなんだろう。次に繋がるモチベーションにもなる。というわけで次はT18「くびき野3号」だ。3時間も間があるので少々仮眠するため、デカイ風車が聳え立つ丘の上の道の駅へとクルマを走らせる。まだまだ残暑の厳しい9月初旬。駐車場の外れの木陰に車を寄せ窓全開でだらしなく仮眠した。しばらくウトウトしていると、よく覚えていないがとても良くない夢を見ていたようで、寝ながらも自分で分かるくらいの歯軋りをしていて、その夢のエンドロールでは「ハッ!」と大きな叫び声を上げて目が覚め、気がつくと滴るくらいの大汗をかいていた。なんなんだろう? 良からぬ前兆か? 水道で顔と首洗い気分をリフレッシュして出発しようと時計を見ると、通過まであと20分と迫っていた。こうなれば撮る場所はもう我等が「Ku・ji・ra・na・mi」。早速ヤマを降りて現場に向かった。到着すると平日のこんな日にすでに10人ほどのギャラリーが待ち構えていた。新潟の2大スターが揃って運用に入れば当然だろうが、間もなく運用終了する485の注目度の高さが今さらながら分かる。自分もスタンバイ開始。セッティングが終わり空を仰ぎ見ると、晴れ間:雲が50:50くらいの割合。イヤな予感もしつつカーブの向こうから登場するスターを待っていた。




晴れよったゼ! ここは何度も訪れたがいつも陰っていた相性の悪い撮影地。。
2014.9/10    信越本線  柿崎〜米山
   EOS5D  24-105mm


こちらはサブ機。
2014.9/10  信越本線  柿崎〜米山
    EOSkissX3  55-250mm

 なかなか良かった。かろうじて雲の間から顔を覗かせた太陽光を浴びて、T18は新潟目指して快走していった。ところで朝イチで見送ったK1は新潟に到着後、上沼垂で8時間近くの昼寝のあと、折り返し「くびき野4号」でここへ帰ってくるのだが、日没後の通過なので、次は今行ったT18の折り返し「くびき野2号」の撮影地を決めることにした。とは言ったものの斑の雲に太陽の光は途切れ途切れで、携帯で天気予報を見ると午後は完全に曇り模様になるらしい。帰ろうか?いや、もったいない。そうとなれば未だ撮影したことのない塚山俯瞰に挑戦してみよう。前回春の訪問では俯瞰場所へのアプローチ方法が分からず結局諦めて下界での撮影となったが、今日はおおよそ見当のつけておいた場所からアタックしようと思う。柏崎市内を経て塚山峠へ。旧市街から少しヤマへ入った林道にクルマを乗り入れ、広場のようなところの駐車場に放置する。果たしてここか?クルマを降り立ちはだかる山を仰ぎ見て、大体の登攀ルートが見えてきた。身軽に偵察に行きたいのでまずは手ぶら。森の中に足を踏み入れた。直坂のきつい上りに大汗をかきながらやがて頂上に到着。周りを見渡すと木々の間の落ち葉の腐葉土についた足跡が森の中へと消えていくのを見つけた。ここなのか。意を決してその「テツ道」?らしき木々の切れ間に足を踏み出した。うっそうとした森の中、尾根伝いを歩きながら水平にトラバースすること約10分。ついに視界が開け、見たことのある絶景が広がった。ついたぁー・・・と感動している場合ではない。今自分は手ぶらなのである。今登ってきた道を麓まで降り、もう一度撮影機材を全て担ぎ上げまたヤマを登ること20分。ようやく撮影の準備に入れる。しかし・・・やはり予報通り、登山中の自分を苦しめた太陽の光はどこにも無く、空は一面の曇り空になっていた。しょうがない。今日は下見下見・・・と言い聞かせながら撮影準備に入る。




「くびき野2号」
2014.9/10   信越本線  塚山〜長鳥   EOS5D  100-400mm

 ま、こんなもんでしょう。まだ夕方にもなっていないが帰ることにした。まともな収穫は鯨波の1本だけだったが塚山俯瞰のアプローチも分かったことだし、来月あたり紅葉の頃合を見計らって再訪しようと決めた。