ついに引退。 さよなら しな鉄169系。

2013.4/27

 4月に入ると職場環境が大きく変わり、ほぼ休暇を取れない状態が続いていた。最後の休暇っていつたっだたか・・? そういや桜が満開だった頃だったけなぁ・・・。遠い遠い昔のようだ。個人的にはウツにはならない自信があるけれど、そろそろ鉄分を補給しないと世の中も気分も梅雨入りしてしまう。そうしてなんとか4/27を完全オフとしてひねり出すことに成功した。・・・って、27は土曜日でないかい?たった1日だけど一般人と同じくゴールデンウィークとやらを体験できてしまう。●●連勤していても1日休みができるのが分かってしまうと、気持ちは日本海縦貫線やキハのことを考えてしまう。うん! オレまだまだ正常だ。ネ、ネタは何かないか (;´Д`)? といっても忙しすぎて今月号のDJを買っていなかったので、仕事中に部下に「ちょっと銀行行ってくる」と平気な顔をしてウソをつき、職場にほど近いターミナル駅の駅ビルの書店にGO! ようやくDJを手に入れたのは休みの2日前、4/25のことだった。その日帰宅して普段は見ることのない臨時列車情報を確認。すると583系が真昼間に秋田〜弘前往復の「弘前さくら祭り号」として運転されるらしい。決めた! 前後日の勤務時間からバイクやクルマでの自力での現地入りは難しそうだったため、すぐにサイバーステーションでこまちとレンタカーの空き情報を確認。GW初日ということもあり△表記だったが、なんとか奇跡的に押さえられそうなことが分かった。「予約」のボタンを押しそうになったが、その前に当日の天気予報を調べてみようではないか。すると、なんと27日の津軽地方はオールデイ雨の予報。時々・・・とかではなく自信に満ちた雨であったのですぐに583は諦めることにした。そのまま天気予報を調べると、どうやら雨は福島から上の東北地方や日本海側だけのよう。ならば他のターゲットをピックアップした。27日の東北地方以外でのネタはというと、@両毛線で183系「足利藤祭り号」×2往復 A183系ホリ快河口湖 Bしなの鉄道169系6連ラストラン(4/27〜29まで3日間)  くらいしかなかった。去就の注目される183系もいつかは撮らなきゃならないけど、しな鉄169×6連はデカい。先月のダイヤ改正で引退した169は3本あるうち1本だけが湘南色であったが、何を血迷ったか、引退後どこかに静態保存される名目でもう1本も湘南色に生まれ変わったらしい。そんな金があるなら・・・はここでは禁句。最初で最後になると思われる、しなの鉄道国鉄色169系×6連を今回の目的地に定めた。

 当日、朝5時起床。昨夜は早めに寝るつもりで、いつもの晩酌はやらなかった。用意していた必要最低限の装備をバイクに積み込み第三京浜〜環八へ進む。やはり大型連休初日ということもあって早朝から要所要所で渋滞が発生し始めている。練馬から関越に乗るもこの先10km渋滞、通過に30分などと表示が出ている。まぁこちとらバイクだしハードな渋滞でなければすり抜けして午前の第1便である急行「信州号」の送り込みには余裕で間に合うだろう。しかし電光掲示板の情報よりだいぶ手前から渋滞が始まってしまった。車線の間をすり抜けしていると、いつの間にか何台かの二輪車が自然と固まり始めて20台以上のすり抜け集団となっていた。5kmくらいすすむと、白煙を上げるへしゃげた複数のクルマ、寝転がっているバイク。まだ事故処理車が到着していない事故りたての現場に遭遇し、3車線の関越道は1車線に塞がれていてこれが渋滞の元だった。二輪のすり抜け集団は「明日は我が身」とでも思ったのだろう。50km/hくらいで流していた一団は急に速度が落ち、30km/hくらいにペースダウンしてきた。さらに元々の情報にもあった10km渋滞にも引っかかり、時間的にもヤバイ状況になって来た。GWの渋滞を完全にナメていた。しばらくヤキモキしながらすり抜けをし渋滞の先頭に出る。ここもクルマ同士の事故が原因の渋滞だった。やっぱり、普段クルマに乗らない方々が一斉に遠出をするため繰り出すもんだからここまで来る途中にもとんでもない運転をするファミリーカーに多々出会ってきた。環八でも隣を走っていたコンパクトカーが体当たり攻撃を仕掛けてきたことを思い出す。慣れない運転に加えヤツらは連休に浮かれている。注意だ!

 藤岡から上信越道に入っても平日の普段には見かけない運転をするクルマに、追い越し車線を占領されペースを上げられないまま快晴の碓氷峠を越え信州へ突入。実はこんなに焦っていたのは撮影地をよく調べていなかったせいもあった。しかしロケハンに1時間くらい充てたいなと思いながら佐久ICで高速を降り、しな鉄の線路を目指していると、国道がオーバークロスポイントで思わず撮影地を見つけてしまったため、急に空き時間ができてしまい腹も減っていたので飯を食うことにした。小諸市街まで行ってすき屋でカレーライスでモーニング。再び先ほどのポイントまで戻る。しっかし今日はよく晴れている。浅間山も山頂までクッキリと望めて今日はいい撮影になりそうだが、一方で非常に寒かった。予報では今日の小諸の最高気温は8℃とあり、現在午前9時なのでそれを下回るものと思われる。風も冷たい北風がひっきりなしに吹いており運転姿勢を度々崩される。そんなこんなで現場到着。すでに10名ほどの先客が待機しておられた



OH! 編成長確認しようかと思ったが短すぎてよく分からん。JR車の115×2連。
2013,4/27  しなの鉄道  平原〜御代田   EOS5D  24-105mm

 連休、イベント、ロケーション、天気と撮影には好条件がいくつも重なり、今日から3日間は多くの人でにぎわうことだろう。ところで昨今、マスコミではテツがイベント時に引き起こす罵声大会などのマナーの悪さが大きく報じられている。今日もこの界隈で在京テレビ局のクルーの一団を見かけたのだが、彼らの目的は169の引退フィーバーなのか、それともどこかで悪さするであろうテツを悪意を持って狙う目的なのか分からないが、とにかく悪い予感しかしないが、この現場にいたテツ一同は大人しくいい子にしていたので彼らは我々に興味が無さそうなのが笑えた。(事実、この連休のしなの鉄道は特に目立ったトラブルはなかったようで、せっかく遠路はるばる来ていたテレビ局は仕方なしに、沿線の道路脇で撮影するテツ集団を取材し、「あぁ〜車道の脇で撮影とは・・・なんて危ない!」などとどーでもいいことを夕方のニュースで報じていた) ザマーミロ。まぁそんな感じで一同平和にマターリと撮影準備に勤しんでいた。



来ましたよ! 169湘南色6連なんて10年前のリバイバル以来だろうか!?
2013,4/27  しなの鉄道  平原〜御代田   EOS5D  24-105mm

 つまらぬ構図で撮ってしまった。軽井沢からの返しはもう少しひねってみたいと思う。お互いに「っかれっしたー」とさわやかに挨拶を交わし、それぞれ別の撮影地に散らばる。自分はバイクにまたがりロケハン開始。あまり時間も無いのでチャッチャといくつか候補を決めて悩みまくりたいと思う。走り出してすぐ、線路を見下ろす農道を左によそ見しながら目をやるとバックの浅間山と手前に線路を見下ろすどこかで見たことのアングルを発見。他も見て回る予定だったが、ここからのベストポイントは木の枝が手前を邪魔して、スッキリと山と線路を取り入れられるのはわずか2,3名という狭さだったため、早めに場所取りをしようと即決してここで急行「信州号」を迎え撃つことに決めた。待っている間、背後の狭い農道をテツ車が何度も通り風景を見ながら徐行していったが、クルマ1台を止められるような場所はない程に道路は狭く、同業者はほとんどやって来なかった。やがて通過20分くらい前になるとどこからか歩いて来た数名と一緒に仲良く撮影タイム。正面には陽が回らない時間でもあったが、さわやかな高原にMT54の音を響かせながら軽やかに湘南色の6両編成は駆け抜けていった。


2013,4/27  しなの鉄道  平原〜御代田   EOS5D  24-105mm

 次にここに169が戻ってくるのは14時前になるので少し時間ができてしまった。自分は朝喰ったすき屋のカレーがまだ消化しきれていなかったので、一度行ってみたかった上信越道脇の跨線橋俯瞰に向かうことにした。今行った急行「信州号」は篠ノ井で折り返してくるが、このポイントは軽井沢方なので次の次を狙う場所になるのだが、どうもかなり有名アングルなようで、3時間前だというのにすでに置きゲバが数本もあり自分が入り込める余地はもう最後の一つの隙間しかなかった。普通こういう置きゲバは最悪盗られもいいように、どうでもいい安い壊れているようなダミーの三脚を置くのが当たり前だが、ただ独りバイクテツのオレにはそんな場所取り用の三脚などは持ってくることはできず、仕方なしに本番用の「本気三脚」をセットして近くのコンビニにおやつを買いに出かけた。そういえば次の午後の一往復は、途中戸倉でもう3両を増結してなんと9両編成でここにやって来る。しなの鉄道全3編成ある169がすべてつながれ最後の力走をするわけだが、3本のうち2本が先ほど見送った湘南色編成。もう一本の戸倉で増結されるやつはしなの鉄道色なわけだが、それが篠ノ井方、軽井沢方どちらに連結されるのかは分からない。戸倉駅構内の配線が分かれば予想はつきそうだが、そんなシロウトである自分は分かるわけも無く、次の撮影を気合入れるかそうでないかは謎な感じになって来た。軽井沢方にしな鉄色が入れば次の急行「ありがとう169系号」は見送り置きゲバした跨線橋で返しの団臨をゲット。逆に篠ノ井方にしな鉄色ならば別の場所を探さなくてはならない。非常に悩ましい。この跨線橋から振り返ってみるとかろうじて線路は見えるものの、手前の樹木の枝が邪魔で撮れそうにもない。どこかに望遠で枝をかわせる「穴」的なモノはないもんかと背伸びしたり這いつくばったりしていると、A・RI・MA・SHI・TA!!膝丈ほどの高さのところになんとか望遠を使えばかわせそうな15cm四方程度の小さな穴を発見。まだ通過まで30分ほど時間があるが、この小さな穴を盗られないようにとすぐにスタンバイ。限りなく低い位置にあるので三脚は使えず必然的に手持ち。いや、返しのために置き三脚をしているため使える訳がない。かなり無理な体勢を取っていたため節々が痛くなりだしたころいよいよ通過時間。かなりの逆光にはなるがカーブの向こうから二灯の光が見えてきた。さぁ国鉄色か? しな鉄色か!?




小枝をかわしきれなかったが、堂々の9連登場!
2013,4/27  しなの鉄道  平原〜御代田   EOS5D  100-400mm

 JRの165系終焉から10年目の2013年。こうしてついに奇跡が起きた。JR線上ではとっくに姿を消した165系(169系)を3編成も大切に使い続け、165系列のアイデンティティでもある湘南色を最後の餞に身を飾らせ、そして3編成全てが手をつなぎ故郷の浅間山の麓を爆走する・・・という奇跡。しなの鉄道様、本当にありがとうございます。長野に行く用事があったら新幹線は使わず、バス〜しなの鉄道様を使わせていただきます。

 最後の最後で大満足となった169系撮影ツアーでした。永遠の別れをし、場所取りに使っていた三脚を回収。上信越道で碓氷峠を駆け下りると、下界は高原のそれとは打って変わって春爛漫の陽気だった。

今回の走行距離  418km