冬のお出かけ。国鉄色が行き交う「北越」撮影・日帰り弾丸ツアー!

2012.12/14

 12月中旬、2連休になった。年末年始で仕事が忙しくなる前に、少しお出かけしてみようと思った。先週末、北日本には今年初のまとまった降雪があり、すでに大糸線なんかではDD16が出動したとの情報が入ってきている。今年の降雪は例年よりかなり早く、すでに平野部でも1m程度積もっているという。スタッドレスは先週履き替えたばっかりだし、あぁ・・・とにかくもう被写体はなんでもいいから出撃したい。しかし現実は甘くなかったのです。年に一度会社に提出する書類の〆切が明日であり、当然まだ何も手を付けていなかった。2日間の休みは家でパソコンで書類作りで終わってしまうだろう。・・・諦めた。まだ冬は始まったばかり。今年もいつものようにこれからヒマさえあれば北国に向かっちゃうんだろう。気を取り直して作業が順調に進むように身を清めるつもりで、朝からビールを呑みながら黙々とパソコンに向きあった。

 どれくらい時間が経ったのか。外は薄暗くなってきた。作業は思いの他順調で、2/3が終了していることに、今気が付いた。おや? これはもしや!? い、行けちゃうんじゃないの?? そうと気付けばまるで何かが憑依したように一心不乱に作業に没頭した。

終了!

 時間は19時だった。すぐにカメラとビデオの充電を開始。でもどこに向かおうかなんて全く決まっていない。とにかく雪があるところ。この時間の出発なら新潟の485だろう。他はリサーチしている時間など無いので自然と行き先は北越地方に決定。そして今日の485の運用と天気概況を調べる。目撃情報だとT18が北越2号〜5号に充当された模様で、このままなら今夜新潟に滞泊し、翌日の4号〜7号に流れてくるはず。しかし7号は金沢を日没後に出発するので、明日確実にゲットできる国鉄色485は、今んところ4号のみ一本のみとなる。一方天気はというと明日は概ね「曇り」。雪でも晴れでもないどんよりした中を、たった1本の列車を撮影するだけという、なんともコストパフォーマンスの悪い撮影になりそうだ。でもそれはいい。とにかく出発だ!
 今夜はなにやら「ふたご座流星群」とやらが見られるとかで、今頃天文マニアの方たちは寝ずの番でカメラを空に向けているのだろう。確かに関東地方は星空がキレイに見えるほど晴れ渡っているがこの先の国境を越えるとどうなってくるのだろうか? オリオン座くらしか見分けがつかないオレにとっては流星グンはどうでもいいが、天気だけは気になる。日付が変わるころ関越トンネル通過。確かに積雪はあるものの路肩の雪はそれなりにしかなく、アスファルトもほとんど乾いてしまっている。雪も無し、天気も良くない、国鉄色は1本だけ・・・。ガチで行くのなら最悪の日かもしれないが、今日はお出かけすることがメインテーマだったので車内一人カラオケも絶好調のまま小千谷ICで降りた。狙うべき「北越4号」は11時台の通過。まだまだ時間があるので目的地の塚山峠にほど近いセブンイレブンの駐車場にクルマを停め、ビールを調達。独り酒盛りをしながら寝ることにした。その前に485情報を確認。 !? すると出発前にはなかった新たな目撃情報。K1編成も動いているらしく、本日の上り最終の「北越8号」で金沢に向かっていったらしい。こうなれば明日の1号〜6号も視野に入れていかなければならない。なんとも芳しい感じがしてきた。ふいに撮影対象に浮上した「北越1号」は9時過ぎの通過。2本買ったビールのうち1本だけ呑んで寝ることにした。すると暗黒の夜空に突然2すじの光の帯が流れた。お、あれが流星群か、と感動する間もなく眠りこけてしまった。
 翌朝、ムシムシする温度で目が覚めた。バリバリに晴れている。いい意味で天気予報が外してくれた。 



まずはウォーミングアップ。115系普電で構図確認。なかなかカッコよい!
2012.12/14  信越本線   長鳥〜塚山   EOS5D100-400mm



K1編成が充当された1051M。まだ12月のなので雪煙も控えめ。「バフ〜!!」ってやつを期待していた。
2012.12/14  信越本線   長鳥〜塚山   EOS5D100-400mm

 カーブの向こうから姿をあらわしたK1編成は、それはそれは美しく輝きながら高速で目の前を去って行った。すると485が行った途端、自分は緊張感が溶けたせいもあってか急に猛烈な便意を模様してきた。慌てて撤収する姿を見て、一緒に撮影していた方は「この後の貨物撮らないんですか?」と話しかけてきた。「あ、いや、ちょっとトイレに・・・」と返しクルマに飛び乗り最寄の塚山駅へダッシュ。無人駅とばかり思っていた塚山駅は実は有人だったので、入場券を買おうとするがその時間も危うい非常事態。駅員さんに冷静さを装って自然な感じで「トイレ貸してください」と言うと親切に「あ、どうぞ」との返事。有難くトイレを拝借し塚山駅を出、さきほどの峠道に舞い戻って来た。今度はT18編成充当の「北越4号」。通過時刻は11:17と見た。先ほどの撮影地から500mほど降りた、広角で線路を仰ぎ見る雪原から狙う。すると急に空はどんよりとした低い雲に覆われ始めてきた。



まぁこんなこともあるさ。T18による1054M「北越4号」。
2012.12/14   信越本線  塚山〜長鳥  EOS5D24-105mm

 このT18編成の「北越4号」は金沢で折り返しののち「北越7号」となって戻ってくるのだが、通過は19時過ぎと遅く、T18の特徴的な新潟方のおでこ2つ目ライトはいただけないことは承知している。本来出発時の計画では、今撮ったばかりの4号で終了の算段だったが、予想外のK1編成の動きに午後の活動に移るとする。今度は「北越6号」だ。日本海側の柏崎に向かう塚山峠は、日陰は雪が溶けないまま路面を覆い、今シーズン初の雪道走行だ。1年ぶりに雪道の感触を思い出しながら峠を越え、柏崎市内に到着。鯨波の撮影地に近いラーメン屋でニンニクガッツリのスタミナラーメン大盛りで腹を満たし、満足したところで車中で昼寝。そして暑さで目が覚めると、先ほどの曇天は嘘のように晴れ渡り、冬の日本海らしからぬ青々とした海原が広がっていた。海を入れようかドカンと行くか・・?通過直前までそれを決めかねながら最終的に下の写真が完成した。



ドカン! 手持ちの400mmだと少し不足するので、ちょいとトリミング済み。
2012.12/14  信越本線 鯨波〜青海川  EOS5D100-400mm

 たった1本の列車の撮影ツアーの予定だったが、幸運にも3発抜くことに成功した。日頃の行いなのかなんなのか? とても満足しながら帰路に就くことにしよう。まだまだ時刻は15時前だったので、一般国道を直江津市街に走り、上越ICから上信越道でノンストップで首都圏へと帰って来て今回の弾丸ツアーは終了した。