(国鉄色番外編) 熱き紅のランナー、京急1000形最後の雄姿を追う! @ 

2010.5/13

 小さい頃から京急沿線で過ごしてきた。当然、物心ついて身近に走っていた鉄道だったので、成り行きで京急が好きだった。やがて全国の国鉄色やさまざまな鉄道車両を撮影するため、休みを利用しては遠く撮影に出かけるようになるのだが、その原点は確かに京急だった。こんな齢になっても、心のどこかではいつも紅い紅い快速特急が12連で疾駆している。誰でもそんな経験はお持ちではないだろうか?どんなに貴重なネタ列車を追っかけても、やはり原点は小さい頃見て育った地元の列車。隣町へ出かけるのも、大旅行の旅立ちでも一番最初に乗る列車、それが自分にとっては京急だった。幼き頃、ロマンスシートを備えた2000型が登場し、沿線のクソガキ達の憧れの的だった。いつか写真に撮ってやろうぞ、と近所の踏切で当時1編成しかなかった2000型を日が暮れるまで待っていたが、いつも次から次へとやって来る電車は1000形だった。京急在籍車両の約半分を占めているから当然だが、普通から快特運用まで何でもこなす1000形は飽き飽きするほどで、特にカメラを向けるどころか目の敵くらいに思っていたと、今となっては思う。

時代は流れ・・・

 気がつけば300両以上いた1000形は、気がつけば6両×2本、4両×2本の20両になっているという。続々と増備が続く新1000形の数に反比例してどんどんその姿を見かけなくなってきたことに、ようやく最近気付いた。ならばっ、ついに超地元の京急に、新潟でキハを狙う時と同じ武装態勢でレンズを向けることにした。出撃前日、ネットでいろいろ調べてみたが、4つの速度種別、分割併合を繰り返す運用、4社乗り入れなど、複雑怪奇な京急の運用が晒されているモノなど無く、長年かけて培った「地元のカン」だけを頼りに撮影地へ向かった。撮影は横浜市内でキレイにS字カーブを捕らえるポイント、能見台〜金沢文庫。もう少し横須賀方面へ行けば豊かな自然の中で撮影出来るのだが、神奈川新町〜金沢文庫間は最も本数が多く、当然1000形に遭遇する可能性は高い。バイクで30分ほど走り現場到着。国道16号と線路が並走する区間で大幹線の車は常に渋滞している。そこへ白レンズのデジ一眼、ビデオカメラを三脚に据え付けて列車を狙う。・・・・恥ずかしい。別に悪いことはしていないのだが、もし友達に見られたら、職場のバイトの横浜市大の娘に通学途中の京急の車内から目撃されたら、母校である京急の駅そばにある高校時代のの同級生に見つかったら・・・・。邪念が錯綜し小さくなりながらセッティングしていたが、レリーズを取り付けファインダーをのぞき戦闘態勢に入と、周辺の雑音は一切入らなくなってきた。1000形は現れるんだろうか? 午前9時5分、天候:雲の多い晴れ。持久戦スタートである。

行ってみよう!! ↓


        


          


  

9時38分。ついに後追いで来た。最若番1345編成。品川行きと見えるのでアイツがここに帰って来るのは2時間半後。
2010,5/13  京急本線  能見台〜金沢文庫  EOS5D  100-400mm


        


        


        


        




 どうやら先ほど後追いで見送った1000形以外は動いていないようだ。1000形が本線の運用に就くとすれば6両の普通運用。4両はおそらく大師線だろう。行き先が決まっていても新町やなんかで頻繁に車両交換などやってのける京急なので、さっきの1345も本当に帰って来るか分からない。とりあえず品川から戻って来るまで待ってみよう。と、持参してきた飲料のペットボトルに手を伸ばそうとした時、黄色の車体が姿を見せた。デトだ。新町〜金沢文庫〜久里浜工で資材輸送などに使われる事業車だが、こうして本線で動いているのは珍しい。シャッターを切りまくると、デトが何か牽引しているのが見えた。なんだ!?




なんと1000形4両を従えている。どういうことか!?
2010,5/13  京急本線  能見台〜金沢文庫  EOS5D  100-400mm


 率いていたのは1351編成。なんと数日前に運用から退き、新町検車区で野ざらしにされていた編成だ。あとあと調べると久里浜工場で解体されるために運行された、いわゆる廃車回送だった。そんなドナドナを目の当たりにしてしばらく呆然。

 そして気を取り直して、また1000形を待つ。



        


        


  ・・来た?




待機開始から3時間。ついに1000形登場!
2010,5/13  京急本線  能見台〜金沢文庫  EOS5D  100-400mm


 ようやく狙うべき獲物がやってきてくれた。3時間も待った甲斐があって側面にも陽が当ってくれた。この後、この浦賀行を追っかけようか、はたまた大師線にでも行こうかと思ったが今日は止めにしておこう。あと半年で引退がささやかれている1000形。少しでも多くその雄姿を記録に残したいと思って、今日は撤収することにした。