2009年の締めくくりは特急「あずさ」国鉄色。

2009,12/31

 大みそかの日、休みになった。この時期、帰省のための多客臨が多数運転されるので、われわれのような平日休みの人種でも波動輸送用の国鉄色なんかが容易に撮れてしまう。しかし今年、いくらウマーなネタを探そうとしても、なかなか見つからず、日帰り圏内のおいしいネタと言えば、大宮の183を使用した臨時特急「あずさ77号」のみという有様だった。183・・・特に急いで撮る対象でもないが、この趣味を持っている人なら誰しも思う、「あん時、撮っときゃ良かった〜」と言わないために、わざわざ帰省ラッシュで混雑する中央道を西へ進路を取るのだった。
 今から4年前ほど、首都圏から信州への修学旅行に使われる集約臨をこの地へ撮りに幾度か通ったことがあったが、高原のさわやかな空気と3000m級の名峰たちが織りなす絶景に夢中になったことを思い出した。今は冬真っ盛り。大気の透明度にも磨きがかかり、富士山を筆頭に北岳、八ヶ岳、鳳凰三山がさぞかし綺麗なことだろう。ハンドルを握りながら4年前の記憶を思い起こし、撮影地を考えた。韮崎を過ぎ、標高を稼ぐ。するとさっきまであんなに輝いていた星空が厚い雲に覆われ始めた。天気予報では「晴れ」と自信を持って言っていたのに、やがて雪が降り出した。マヂかー! 積雪があるならそれはそれで画になるのだが、微妙な降りの様子。ともかく明日の激晴れを期待して小淵沢ICで高速を降り、撮影地近くの路肩のPAで仮眠した。正午に起床。雪は止んでいるが薄晴れ。力なく太陽が陽を注いでいる。富士山をバックにできる撮影地に到着すると同業者はゼロだった。冷たい猛烈な山おろしに吹かれながらかじかむ手でセッティングを開始。太陽が雲から顔を出したり隠したりする度に露出をカリカリ変えながら踏切が鳴るのを待った。



晴れていればこの林の向こうにデッカク富士山が顔をのぞかせるはずだったが・・・。
2009,12/31   中央本線  小淵沢〜長坂  EOS5D  24-105mm


 結局列車通過時には飛んできた一片の雲が太陽を遮ってしまい勝ち負けで言ったら「負け」になってしまった。しかも「あずさ」の絵入りHMも期待していたが、ただの「特急」表記。ならば返しはガチで行かねばならないと、情景描写は止めて真っ向から編成をキメるしかない。とくれば八ヶ岳バックであまりにも有名なあのカーブ。現在、八ヶ岳の山頂は雲に覆われているものの、誰がみても山裾は「八ヶ岳」と判る状態。返しはおよそ2時間後なので、ただただ山が隠れないよう祈るだけ。10分ほど車で山を降り、八ヶ岳バックの「長坂の大カーブ」に到着。築堤に駆け上がるとかろうじて八ヶ岳の稜線が見える程度。しかしさきほどの「あずさ77号」の返しである回9474Mまでまだ時間がある。持ってくれるだろうか?そう案じれば案じるほど雲がどこからともなく湧いてきた。ドヨドヨドヨ・・・・。まずは八ヶ岳が視界から消えた。ドヨドヨドヨ・・・。しばらくすると薄日を差していた太陽が完全に雲の中に消え入った。ドヨドヨ・・・。そして露出が3段下がった。もうしゃーないので編成をドッカンと長玉でいただくことにした。さっきの編成の上り方には確か特急マークが付いていたし、本当は回送でも、もしかしたら赤文字の「特急」表記のままで来るんじゃないか?これでも有難いと思おうではないか。そして通過時間。結果は以下のようになった。



コテンパンにやられ、挙句「回送」だった。来年こそいい年でありますように・・・。
2009,12/31   中央本線  小淵沢〜長坂  EOS5D  100-400mm



オマケ。スカ色を期待してみたが長野色。寒々しい長野色がさらに寒さを盛りたててくれた。
2009,12/31   中央本線  小淵沢〜長坂  EOS5D  100-400mm