583代走! 会津の地に国鉄特急色がやって来た。
2007,9/29

 磐梯熱海ICで高速を降りて撮影地へバイクを走らせた。温泉街を抜け、築堤を見上げる収穫真っ最中の田んぼに到着した。間もなくここを583系「あいづライナー」が下ってくる時間だ。田んぼでは奥の1反がもうすぐ稲刈りを終えるところで、9月の情景を写しこむのには丁度いいと思ったが、583通過直前、農家の人は刈り取ったばかりの畦に腰掛けて、ティータイムになったようである。ゆっくりと時間が流れるこの光景もいいではないか。おっさん達は自分の田んぼ脇の道路でカメラを持った怪しい集団が増えるので、何が来るのかと、いぶかしげに線路と我々を交互に見比べながら一服していた。




ピカピカの車体を露わにして登場した583「あいづライナー2号」。
2007,9/29   磐越西線   磐梯熱海〜中山宿   EOS5D  24-105mm

 この快速「あいづライナー」は定期列車であるものの、車両が1編成しかない「あかべぇ485」を使用するため、検査や増発の際には他の車両が充当される。今回は通常の「あかべぇ編成」が、上野〜喜多方の多客臨時特急「あいづ」の運用に入るため、仙台車の583系6両がその代行を務めるというので、前日夜半出発し、途中の東北道那須高原SAで仮眠のあと、この地に立った。郡山と喜多方の2往復。計4発撮れることになる。次の1号は中山宿手前のカーブで狙ってみようと、少し峠を上り中山宿集落へ。1997年以前、この中山宿は郡山寄りに300mほど下ったスイッチバックの駅であった。25‰の連続する磐越西線の中山宿は、非力な蒸気機関車のため一旦スイッチバックに突っ込む形で駅に停車し、出発には後退して加速線に引き上げ、そこから勢いをつけて峠に挑んでいた。しかし電化され坂道発進も苦ではなくなったため、集落に近い上り勾配の途中に新しい中山宿駅が移動した。その新しい駅らしく、シンプルなホームを横目に踏切を渡り、カーブを見下ろす高台へ。秋の風が強く吹いていたが、列車を待つ長い間、とても気持ちよく時を過ごしていた。




1号。土曜日だったので家族連れのギャラリーもちらほら。大きな車体をくねらせて最後の勾配にアタックする。
2007,9/29   磐越西線   磐梯熱海〜中山宿   EOS5D  100-400mm

 この1号が若松へ行って戻ってくるまで3時間以上。前日はサービスエリアの食堂の冷たい床にゴロ寝で2時間程度の仮眠だったので、一旦峠を越えて猪苗代湖畔へ。湖畔の公園の芝生の上で、吹き荒れる秋の嵐の中昼寝をした。口を開けて寝ていたのか、目が覚めると口の中が砂でジャリジャリと音を立てた。また少し峠を降り、今度も中山宿の若松よりのススキに埋もれたカーブで列車を待つことしばし。日は完全に翳ってしまい、WBを調整しながら何度もプレビューを確認しているうちに、ススキの向こうからタイフォンが鳴った。




4号。晴れていたら最高であっただろうススキのカーブ。
2007,9/29   磐越西線   (臨)猪苗代湖畔〜中山宿   EOS5D  100-400mm

 今日はこの後日照は望むべくもないので、最後の3号の撮影は、小川を渡る583を列車流しと、清流流しで撮ることにした。三脚を立てカメラをスタンバイ。583が通過すると同時に連写! シャッターを押しながら、今日は風が強いことを完全に忘れていることに気付き、恐る恐る画像を確認すると、列車、清流が流れているのはいいものの、周辺の木々たちもざわめいており、何がなんだか分からない作品になってしまったので、ここでは公開いたしません。すごすごと機材を撤収して引き上げ、内陸の国道を経て矢板ICまで走り、ETCの通勤割と夜間割を併用しながら横浜を目指して走った。
   
おしまい。